「リンパ浮腫」治療方法をご存知? 進行を抑える方法や手術について医師が解説!

「リンパ浮腫」治療方法をご存知? 進行を抑える方法や手術について医師が解説!

がんの治療の過程やなんらかの原因で発症する「リンパ浮腫」には、完治のための治療方法はありません。一方、症状が進行しないように食い止めるための方法や、手術があることをご存知でしょうか? 今回は、リンパ浮腫の原因や進行を抑制するためのポイント、治療方法としての手術について医師の長西 裕樹先生(NACSクリニック リンパ浮腫センター北横浜院長)にお聞きしました。

≫ 夕方になると足がパンパン…むくみの対策方法は? 重篤な疾患の可能性も【看護師監修】

監修医師:
長西 裕樹(NACSクリニックリンパ浮腫センター北横浜)

横浜市立大学医学部卒業後、横浜市立大学附属2病院や北里美容医学センター、神奈川県立こども医療センター、横浜市立大学附属市民総合医療センターなどで経験を積む。2013~23年度、済生会横浜市南部病院 形成外科主任部長を務め、2024年4月より現職。日本形成外科学会 専門医・指導医、再建・マイクロサージャリー分野指導医、小児形成外科分野指導医、日本頭蓋顎顔面外科学会 専門医。

「リンパ浮腫」の概要 原因や種類について医師が解説

編集部

まず初めに、「リンパ浮腫」とはどのような状態のことを指しますか?

長西先生

私たちの体内には「リンパ液」とよばれる液体が循環しています。このリンパ液の役割として、細胞間液や老廃物を回収して体外に排出する機能があります。しかし、なんらかの原因でこの流れが阻害されると、組織に余分な液体がたまって浮腫んでしまい、リンパ浮腫と呼ばれる状態になります。

編集部

リンパ浮腫の原因は何でしょうか?

長西先生

多くの場合、乳がんや子宮がんなど婦人科系がんの手術後にリンパ浮腫が起こることがあります。理由としては、がんの手術に伴うリンパ節の切除や抗がん剤治療、放射線療法が要因となるからです。一方で、がんを患っていないのにリンパ浮腫になるケースや、生まれつきリンパ浮腫を呈する方もいらっしゃいます。

編集部

要因がないのにリンパ浮腫になるのですか?

長西先生

そうですね。「原発性リンパ浮腫」といって、先天的な異常や遺伝的な問題によって引き起こされるリンパ浮腫があります。明確な原因はわかっていませんが、治療方法としては「続発性リンパ浮腫」と同じです。

「リンパ浮腫」の発生予防や進行予防はどうしたら良い?

編集部

では、「リンパ浮腫」を予防する方法はありますか?

長西先生

要因が分かりやすい「続発性リンパ浮腫」の発生予防としては、まず太らないことを意識してみましょう。皮下脂肪が増えると、リンパ管にかかる圧が大きくなるのでリンパが流れにくくなってしまうのです。

編集部

ほかには何かありますか?

長西先生

リンパ浮腫の発生や悪化の原因で非常に多いのが細菌などの感染です。ちょっとした傷や虫刺されなどから感染する場合も少なくありません。日頃から、十分な感染対策と、感染徴候の早期発見が大切です。

編集部

では、進行予防はどうですか?

長西先生

発生してしまった場合の進行予防も、基本的には予防法と同じく太らないようにすることと感染予防が大切です。特に、一度リンパ浮腫となった腕や脚は、通常より動かしにくく皮下脂肪が溜まりやすくなるので、これまで以上に体重管理に注意を払う必要があります。

関連記事: