【医師解説】健康診断で「白血球が少ない」と言われた…原因は? 考えられる可能性を知る

【医師解説】健康診断で「白血球が少ない」と言われた…原因は? 考えられる可能性を知る

健康診断で何らかの異常値が出れば、「何かの病気になってしまったのかな」と心配になってしまうでしょう。中でも白血球数が減少する原因や症状についてご存知ですか? 今回は、白血球が少なくなる原因や健康診断で指摘されたときにすべきことについて、渡邉 健先生(ハレノテラスすこやか内科クリニック 院長)にお聞きしました。

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監修医師:
渡邉 健(ハレノテラスすこやか内科クリニック)

鹿児島大学医学部医学科卒業。その後、横浜市立みなと赤十字病院、横須賀共済病院、がん・感染症センター東京都立駒込病院などに勤務、東京医科歯科大学医学部附属病院(現・東京医科歯科大学病院)特任教授、東京医科歯科大学血液内科学教室助教などを務める。2019年、埼玉県さいたま市に「ハレノテラスすこやか内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会専門医・指導医。ICLSインストラクター、JMECCインストラクター。

健康診断で白血球の数値が低いと診断されたら 血液中の白血球が少なくなるのはなぜ? ストレス? 感染症?

編集部

血液検査で「白血球の数値が低い」と言われてしまいましたが、そもそも白血球とはなんですか?

渡邉先生

白血球とは、骨髄(こつずい)で作られる血液細胞のことを指します。白血球は、菌やウイルス、カビなどから私たちの体を防御する働きを持ちます。基準値についてですが、「日本人間ドック学会」によると正常値:3100~8400/μLとされており、これよりも多かったり少なかったりするとなんらかの異常が起きている可能性があります。

数値(/μL)

要医療
3000以下

正常
3100~8400

軽度異常
8500~9000

要経過観察
9000~9900

要医療
10000以上

参考「人間ドッグ学会」

編集部

白血球が正常値より減っている場合はどんな異常が考えられますか?

渡邉先生

まず、白血球が少ないときには白血球以外の血液細胞である赤血球や血小板の値をみて考えていきます。2つ以上減少している際には栄養性、骨髄の機能異常、肝硬変などで血球の寿命が短くなっている場合を考えます。

編集部

白血球だけが減っている場合はどのようなことが考えられますか?

渡邉先生

白血球が単独で減少している場合、短期的なものなのか、慢性的に続いているのかを確認します。短期的な減少の場合、飲んでいる薬の副作用もしくはウイルスなどの感染によるものであることが多く、1週間程度で回復することがほとんどです。3か月以上続く場合は、膠原病や家族性白血球減少、がんなどの可能性が考えられますので、更なる検査が必要となります。

健康診断の結果で「白血球が少ない」と指摘されたら検査を再受診する必要はある? 何科の病院へ行くべき?

編集部

やはり白血球数の減少が見られた場合、病気の可能性は考慮すべきなのですね。

渡邉先生

可能性はあります。ただし、健康診断で白血球の数が少ないと言われたとしても、貧血や血小板減少がない、ほかの項目に異常がない、特に症状もない場合は問題ありません。実際はそのようなケースがほとんどです。

編集部

「再受診」とか「要精密検査」と言われた場合はどうしたら良いのですか?

渡邉先生

もちろん、一度はきちんと検査してもらってください。「問題ないケースがほとんど」とは言っても、自己判断で安心してしまうと、万が一病気が隠れていた場合に発見や治療が遅れることになってしまいます。特に、関節が痛い、皮疹がある、目が乾くなどの症状がある方は、膠原病の可能性がありますので医師に相談してください。

編集部

何科の病院に行ったら良いでしょうか?

渡邉先生

かかりつけの医療機関があれば、まずはそちらに行きましょう。もし新たに医療機関を探すのであれば、血液内科のあるところをおすすめします。検査結果をしっかりみてくれるだけでなく万が一病気の可能性があった場合にも、比較的スムーズに対応できるはずです。お近くに血液内科がなかった場合は、一般内科でも問題ありません。必要に応じて、血液内科を紹介してくれるはずです。

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