寝るときの暖房はつける/つけない、どちらが良いの? 睡眠環境を整えるエアコン暖房の使い方

冬、眠るときにエアコン暖房はつけていますか? 「乾燥するから、つけない方がいい」「寒くて寝つけないから必須」など、さまざまな考えがありますが、実際のところ、エアコン暖房をつけるのとつけないのとでは、どちらが快適に眠れるのでしょうか? 睡眠の専門家で医師の坪田 聡さんに聞きました。

冬の睡眠、よくあるお悩みは?

睡眠にまつわる悩みは、季節によっても変わるもの。寒さが厳しくなる冬の場合は、どのような悩みが増えるのか、坪田さんに聞きました。

体が冷えてなかなか寝つけない

「人の睡眠メカニズムには、“深部体温”が大きく関わってきます。深部体温とは、体の深いところにある脳や内臓などの温度のこと。この深部体温が下がるときに眠気が強くなり、上がるときに目が覚めてくるのです。深部の熱は血管を通り、体の表面に運ばれて放熱されるため、体が冷えていて手足の血流が悪いと深部体温がスムーズに下がらず、眠くなりにくい状態になります」

寒くてぐっすり眠れない

「部屋の温度が低すぎたり、乾燥していたりすると、睡眠の質が下がってしまいます。寝室の温度は20℃から22℃くらい、湿度は50%から60%が睡眠環境としては理想的なので、そこに近付けるよう、暖房器具や加湿機を使って調整しましょう」

朝、寒くて布団からなかなか出られない

「起床時に部屋の温度が低いと、温かい布団から出たくないものです。また、布団の中と外の温度差が大きくなると、血圧が急激に上がって体に負担がかかる可能性もあるので、寒い日の起床時には注意が必要です」

冬の寒い時期に、睡眠の質が落ちる理由

これらのお悩みは寒さが主な原因ですが、以前の記事
でもご紹介したように、冬の睡眠の質を下げる要素はこのほかにもいくつかあります。

たとえば、日照時間の短さ。目を覚ます働きのある脳内神経物質は、日光を浴びることでつくられるため、日照時間が短い冬は量が減少してしまいます。また、寒暖差により自律神経の働きが乱れたり、忘年・新年会などでアルコールを摂取する機会が増えがちなことによる「自律神経のバランスが崩れやすい」「アルコールの摂取量が増える機会が多い」といったことも、冬ならではの要因。これらは生活習慣を整えるだけでも少なからず改善できるので、睡眠の質が低下していると感じたら、普段の生活を見直してみましょう。

関連記事: