突然、何の兆候もなく血尿がみられることで発見されるケースが目立つ「膀胱がん」。痛みをほとんど伴わないため見逃すことも多く、進行してから気づくという人も少なくないそうです。一体、どのような症状に気をつければいいのかについて、「所沢いそのクリニック」の磯野先生に教えていただきました。
≫「一度だけ血尿が出た」を放置してはダメ! どんな病気のサイン?
監修医師:
磯野 誠(所沢いそのクリニック)
防衛医科大学校卒業。その後、デュッセルドルフ大学泌尿器科、恵佑会札幌病院泌尿器科、我孫子東邦病院泌尿器科などで経験を積む。2023年、埼玉県所沢市に「所沢いそのクリニック」を開院。老若男女問わず元気で豊かな生活を送れるよう、一人ひとりに最適な医療を提供する。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。
血尿や頻尿は膀胱がんのサイン? 膀胱がんの初期症状をチェック!
編集部
膀胱がんには、どのような初期症状があるのですか?
磯野先生
初期症状で最も多いのは、痛みなどの症状がなく血尿が出る「無症候性肉眼的血尿」です。尿が血の色で赤色やピンクになるのが特徴です。
編集部
ほかには、どのような初期症状がありますか?
磯野先生
膀胱炎のような症状が出ることがあります。例えば、頻尿、残尿感、排尿時痛などを自覚する場合があります。
編集部
「そうした症状がみられて、受診したらがんが見つかった」という人が多いのですか?
磯野先生
はい。そのほかにも健康診断の尿検査で、潜血反応を指摘されて受診する患者さんもいます。これは顕微鏡的血尿と言い、目に見えて血尿が出ているわけではなく、顕微鏡で見て血液成分がわかります。
喫煙・飲酒は膀胱がん発症のリスクを高める? 膀胱がんに多い原因と予防法
編集部
膀胱がんの発症リスクを高める原因はなんですか?
磯野先生
膀胱がんのリスク要因としては、「喫煙」が考えられます。タバコを吸わない人と比較して、現在喫煙している人は4倍、以前喫煙していた人は2~3倍膀胱がんになりやすいことがわかっています。
編集部
なぜ、喫煙が関係しているのですか?
磯野先生
タバコの煙には様々な発がん物質が含まれており、血流に乗って全身を回った後、濃縮されて尿の中に排泄されます。そのため、膀胱の粘膜は常に発がん物質にさらされることになり、がんが発生するのではないかと考えられています。
編集部
そのほかにも原因はありますか?
磯野先生
アニリン色素などの合成染料や、ナフチラミやナフチラミンなどの特殊な化学薬品も膀胱がんの発症リスクを高めます。そのほか、抗がん剤のシクロフォスファミドや、腎障害を起こすとして販売中止になった鎮痛剤フェナセチンなども、膀胱がんの発症リスクを高める要因として知られています。
編集部
膀胱がんを予防するには、どうしたらいいでしょうか?
磯野先生
まずは禁煙が必要です。男女比で見ると、男性に多く発症することがわかっています。特に喫煙している男性はリスクが高いので、禁煙を推奨します。
配信: Medical DOC