「花粉症のアレルギー検査」はどこで受診できるの?費用についても医師が解説!

「花粉症のアレルギー検査」はどこで受診できるの?費用についても医師が解説!

花粉症のアレルギー検査の費用や項目は?Medical DOC監修医が検査方法や数値など解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

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監修医師:
小島 敬史(国立病院機構栃木医療センター)

慶應義塾大学医学部卒。医師、医学博士。専門は耳科、聴覚。大学病院および地域の基幹病院で耳鼻咽喉科医として15年以上勤務。2年間米国で基礎研究に従事の経験あり。耳鼻咽喉科一般の臨床に従事し、専門の耳科のみならず広く鼻科、喉頭、および頭頸部腫瘍疾患の診療を行っている。
日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医。日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本耳鼻咽喉科臨床学会の各種会員。補聴器適合判定医、補聴器相談医。

花粉症のアレルギー検査とは?

花粉症のアレルギー検査には、大きく分けて2つあります。鼻汁を拭って顕微鏡で観察する検査と、血液検査です。いずれも保険診療で受けられる検査となっています。いくつか種類がありますので、それぞれについて詳しく解説します。また、どこで受けられるのかについても述べていきます。

花粉症のアレルギー検査方法は?

花粉症のアレルギー検査には大きく分けて鼻汁を拭って検査する鼻汁好酸球検査と、血液検査による特異的IgE抗体検査の2種類があります。
鼻汁好酸球検査とは、鼻汁の中の好酸球という細胞を観察する検査です。好酸球はアレルギー反応によって誘導される白血球の一種です。鼻汁中好酸球が観察されるということは、アレルギーによって鼻水が出ていることを示しています。例えば、3月に鼻汁好酸球検査で陽性であった場合、高確率でスギ花粉症であると考えられます。鼻汁を綿棒で拭うか、ティッシュでかんだ鼻水から検査に回すことができます。そのため、痛みはほとんどなく、アレルギー症状から生じた鼻水であると確定診断可能な点が特徴です。ただし、どの物質に対するアレルギーが生じているかについては、必ずしも特定できない場合があります。
血液検査による特異的IgE抗体検査は、アレルギーを起こす物質に対し、特定のIgE抗体が体内に生じているかを観察する検査です。例えば、スギ花粉に対する特異的IgE抗体が体内に生じていると、スギ花粉症という診断に近づけます。血液検査にはさまざまな種類があります。例えば、指先から血液を少しだけ採取するだけでさまざまな抗体を検査できる方法や、充分な量を採血して特定の抗体を検査する方法などもあります。スクリーニング的に多くの項目を検査可能なことが有利な点ですが、一方で偽陽性・偽陰性などに注意する必要もあります。

血液検査による花粉症のアレルギー検査項目にはどんな種類がある?

血液検査による花粉症のアレルギー検査には多くの種類があります。
今回は、
1. 項目別特異的IgE抗体検査
2. VIEW39やMAST48などのスクリーニング検査
3. イムノキャップラピッド
4. ドロップスクリーン検査
と4つの方法について紹介します。
1の項目別特異的IgE抗体検査は、特定の項目について特異的IgE抗体が体内にあるかどうかを検査するものです。例えばスギ、ヒノキなど決まった項目のみ検査することが可能です。抗体の量についても比較的正確に計測することができるため、基本的に行われる検査となります。
2のスクリーニング検査は、網羅的に多数の特異的IgE抗体を検査可能なものです。検査の種類により判明する項目は異なりますが、多数の花粉、動物、ハウスダスト、カビや食物アレルギーについて検査することが可能です。1、2については一般的な採血が必要となり、採血のために痛みはありますが、多くのクリニック・病院で行われています。結果については1週間程度の時間が必要となります。
3のイムノキャップラピッドはキットを用いた簡便な検査です。アレルギー性鼻炎の原因となる特定の8項目が検査可能で、20分で結果がすぐわかるのが特徴となっています。
4のドロップスクリーンは鼻炎だけでなく食物を含んだ41項目を30分間で検査でき、当日中にすぐわかる優れものです。3、4は指先から血液を採取することで検査可能なため、痛みも最低限であり、お子様でも十分施行可能ですが、特に4のドロップスクリーンは行っている施設が限られるため、希望される場合は事前に相談することをおすすめします。

花粉症のアレルギー検査はどこで受けられる?薬局で検査キットも買える?

花粉症のアレルギー検査は病院・クリニックでのみ受けられる検査です。現在のところ薬局で行うための検査キットは発売されていません。希望される場合は近くの病院・クリニックへの受診をご検討ください。

花粉症のアレルギー検査費用は?

検査の費用は検査法によって異なりますが、いずれも保険診療で行えます。鼻汁好酸球検査はそれ自体では3割負担で45円と非常に安価です。採血による検査は項目数によって異なりますが、ほとんどの場合は3割負担で5000円程度となります。

花粉症アレルギー検査の数値と検査結果の見方・所見

ここまで花粉症のアレルギー検査について説明をしました。
以下では、数値と検査結果の見方について説明します。

花粉症アレルギー検査の数値(特異体IgE抗体等)

花粉症アレルギー検査結果において、特異的IgEの量はU/mLで表されます。必ずしも抗体の量が多ければ症状が強い、ということではありません。しかし、抗体の量が多いと症状が強い傾向があるというのは事実です。そのままの数値では結果の判定がわかりにくいので、次で説明する「クラス」という評価単位を使います。

花粉症アレルギー検査結果の見方・所見(測定値クラス)

特定の物質に対する特異的IgE抗体の量をわかりやすく分類したのがクラスになります。クラスは0から6までの数値で表されます。0は抗体なし、1は擬陽性といって、陽性の疑いだがほぼ症状はでないもの、2以上は陽性となります。クラスが高いからといって必ずしも症状が強くなるわけではありませんが、その傾向は強くなります。例えばスギでクラス3というような結果が出た場合、その方はスギ花粉症である可能性が非常に高いと考えられます。スギ特異的IgE抗体陽性に加え、スギ花粉飛散期に症状があるようであればスギ花粉症の確定診断と言えます。

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