GENKING. が救急車で緊急搬送「線維筋痛症」の疑いか、症状・原因を医師が解説

GENKING. が救急車で緊急搬送「線維筋痛症」の疑いか、症状・原因を医師が解説

タレントのGENKING.さんが自身のSNSにて、救急車で病院に搬送されたことを明かしました。皮膚がヒリヒリと痛むものの、見た目には異常はないそうで、一時は原因がわからずに病気・症状についてSNSで情報提供を呼び掛けていました。SNSの続報によれば「おそらく線維筋痛症との診断」と綴っています。果たして、線維筋痛症とはどのような病気なのでしょうか? そこで線維筋痛症の症状や原因など病気の特徴について、工藤孝文先生に解説してもらいました。診断方法・早期発見のポイント・治療法・予防する方法なども一緒にみていきましょう。

※この記事はMedical DOCにて【「線維筋痛症」とは?症状についても解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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監修医師:
工藤 孝文(工藤内科)

みやま市工藤内科 院長・糖尿病内科医・漢方医・統合医療医。福岡大学医学部を卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、福岡県みやま市の工藤内科にて、糖尿病内科・ダイエット外来・漢方治療を専門に、地域診療を行っている。NHK「ガッテン!」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビ出演多数。著書は50冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。YouTube「工藤孝文のかかりつけ医チャンネル」が現在人気を集めている。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

線維筋痛症はどんな病気?

線維筋痛症の症状を教えてください。

主な症状は疼痛を全身のいずれかや広範囲にわたって感じることです。疼痛というと難しくわかりづらいですが、下記項目に当てはまると線維筋痛症の可能性があります。

全身のいずれかに違和感を覚える

押さえると痛い部分がある

手や足を動かすと痛みや違和感がある

痛みが強く手足や体を動かせない

上記のような違和感や痛みがあることを疼痛といい、全身のいずれかに疼痛が長期的にみられた場合は線維筋痛症を疑いましょう。

とくに関節・筋肉・腱・靭帯などに痛みがあらわれます。長期的な疼痛が主な症状ですが、痛みは日によって異なり天気・気圧・体調・環境によっても変化しやすいです。

痛みまではいかなくても手や足がこわばる・違和感があり手足を動かしづらいといった症状も線維筋痛症の可能性があります。

また、その他にも伴う症状が複数あり、疼痛にあわせて下記のような症状がみられた場合は線維筋痛症かもしれません。

集中力の低下

倦怠感がある

口や目の乾燥

発熱

頭痛

めまい

動悸

呼吸しづらい

指先の腫れ

手足の痺れ

痛みによる不眠

上記のような症状の他に、憂鬱な気分が続く抑うつ状態や強い不安感がある場合も線維筋痛症による影響の可能性があります。全身いずれかの疼痛と上記のような症状が3か月以上続いている方は、早めに病院を受診しましょう。

線維筋痛症の原因は何でしょうか?

さまざまな症状が全身にわたってみられる線維筋痛症ですが、はっきりとした原因はいまだ不明です。

しびれや痛みを感じる部分を調べても異常がないため、症状がみられる部分的な箇所に原因があるのではなく、脳への神経伝達部分に異常がみられることが原因といわれています。遺伝の可能性はないとされており、幼少期や長年の環境的な要因が病気の発症につながっている可能性が高いです。神経に異常をきたす原因としてはストレスが影響していると考えられており、長期的・過度なストレスは線維筋痛症の原因にもなり得ます。

しかしはっきりとストレスが原因とは断定できないため、線維筋痛症だと気づかずに生活を送っている人も少なくありません。

線維筋痛症は子どもも発症するのでしょうか?

子どもに全身の痛みや倦怠感などが長期的にみられた場合は若年性線維筋痛症の疑いがあります。成人に限らず子どもでも発症する病気で、幼い頃から長年のストレスを感じている子どもや性格的に繊細な子どもに発症することが多いです。

お腹が痛くて学校に行けない

全身に痛みを感じ朝起きられない

体の痛みによって夜眠れず日中に眠くなる

これらのような症状をお子さんが訴え、不登校になったというケースは珍しくありません。しかし、病院を受診し検査を行っても「異常なし」といわれることが多く、こういった場合は若年性線維筋痛症の可能性があります。

不登校のお子さんの多くは、何らかのストレスが原因で「学校へ行きたくても行けない」のです。ストレスが要因となり線維筋痛症を発症していても、原因が分かっていないためきちんとした病名にたどりつくことは難しく、まわりからは甘えていると思われてしまいます。

お子さんが若年性の線維筋痛症である可能性がある場合、まずは病院を受診し異常なしや原因がわからないと診断された場合はセカンドオピニオンも考えてみましょう。

維筋痛症の診断方法は?

線維筋痛症の診断方法を教えてください。

はっきりとした原因がわかっていない病気のため、線維筋痛症と診断するのは難しいとされています。しかし診断する方法としては下記の3つが挙げられます。

全身のいずれかや広い範囲に疼痛が感じられる

疼痛が3か月以上続いている

指定された基準箇所を触ると痛みがある

このような診断材料で医師が問診や触診を行い診断をします。この場合の指定された基準箇所というのは全身に18か所あり、首・肩・手足などがチェック箇所です。

主に疼痛に焦点を置いた診断になりますが、倦怠感や睡眠障害など他の症状がみられる場合は問診の際に医師に伝えましょう。

具体的にはどのような検査を行うのでしょうか?

線維筋痛症の症状がみられる場合は問診や触診を行い、まずは他の病気を疑う検査をしていきます。

血液検査

尿検査

レントゲン写真・CT・MRI撮影

エコー診断

心電図

脳波検査

これらの検査を行っても異常がみられない場合、線維筋痛症の可能性があるという診断になるのです。どこにも異常がみられず原因不明という点が線維筋痛症の特徴であり、さまざまな検査を行うことになります。いわば消去法のような形で、検査結果に異常がないため線維筋痛症と診断されるケースも多いです。

線維筋痛症を早期発見するポイントを教えてください。

疼痛が3か月以上続くと線維筋痛症の疑いがあるため、早期発見のポイントとしては慢性的な疼痛が続くようなら早めに病院を受診するほかありません。

激痛が長期的に続いて治まらないという場合は病院を受診する人が多いですが、違和感がある・倦怠感が続く程度であれば放置してしまう人も少なくないです。そのうち治っていくだろうと放置せず、少しでも異常を感じた場合は早めに病院を受診しましょう。

全身が痛く何科を受診すればよいのか悩んでしまう人もみえますが、基本的にまずは内科を受診するとよいでしょう。線維筋痛症はうつ病などの精神的な疾患と併発することも多いため、心療内科や神経内科の受診も検討してください。

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