3、個人再生の費用はいつ払う?
個人再生をするには、それなりの費用がかかることがお分かりいただけたと思います。
では、これらの費用はいつ支払うことになるのでしょうか。
(1)弁護士費用は原則として前払い
弁護士費用は、原則として前払いすることが必要です。
着手金と報酬金に分けられている場合は着手金を、手数料として一括で定められている場合はその手数料を、依頼時に一括で支払わなければなりません。
ただし、分割払いに対応している法律事務所も少なくありません。
弁護士費用の分割払いについては、後ほど「4」(1)でご説明します。
(2)裁判所に納める費用は申し立て時
裁判所に納める費用(3万円前後)は、先ほどもご説明したように、個人再生を申し立てる際に裁判所の窓口で支払います(郵便切手の提出も同時に行います。)。
(3)個人再生委員の報酬は分割払い
個人再生委員の報酬(12万~25万円)は前払いではなく、「履行テスト」を兼ねて分割で積み立てていきます。
履行テストとは、申立人が再生計画に従って返済していけるかどうかをテストするために、個人再生の手続き中に再生計画による返済予定額を積み立てる制度のことです。
多くの場合は、個人再生委員の報酬以上の金額を積み立てることになります。
再生計画案の認可決定が出た後、個人再生委員の報酬を差し引かれた残額が申立人に払い戻されます。
積立期間は4か月~6か月で、その間に個人再生委員の報酬以上の金額を積み立てる必要があるため、毎月の積立額は最低3万円とされることが多いです。
4、個人再生の弁護士費用が払えないときの対処法
個人再生の弁護士費用として40万~60万円のお金を、一括では支払えない方も多いことでしょう。
そもそもお金に困って個人再生の申し立てを考えているはずなので、無理もないことです。
ここでは、弁護士費用を一括で支払えないときの対処法をご紹介します。
(1)分割払いに対応している法律事務所を探す
弁護士費用の分割払いに応じてくれる法律事務所も多くありますので、まずはそういった事務所を探してみましょう。
ただし、分割払いで依頼する場合には、できる限り早期に支払い終えることが重要です。
個人再生を申し立てると「履行テスト」が始まりますので、それまでに弁護士費用を支払い終えていないと苦しくなるからです。
6か月以内に支払い終えることが理想的ですが、1年程度までは応じてくれる事務所が多いです。
弁護士とよく相談して支払期間を取り決めましょう。
(2)法テラスの利用を検討する
法テラスの「民事法律扶助制度」を利用できれば、弁護士費用そのものを安く抑えることが可能です。
民事法律扶助制度とは、資力が乏しい人を対象として、弁護士の無料相談を利用したり、一般の法律事務所よりも低料金で弁護士に依頼できる制度のことです。
依頼した場合の弁護士費用の支払いは、原則として毎月1万円ずつの分割払いとなります。
法テラスに直接申し込むと弁護士を選べないため、自分で個人再生の経験が豊富な弁護士を選んで、その弁護士を通じて法テラスに申し込むことをおすすめします。
この申し込み方法のことを「持ち込み方式」といいます。
ただし、持ち込み方式で申し込むためには、選んだ弁護士が法テラスと契約している必要があります。
法律相談を申し込む際に、「法テラスの制度を利用できますか?」と尋ねて確認するようにしましょう。
なお、民事法律扶助制度の利用条件については、こちらの記事でご確認ください。
(3)費用が安い事務所を探す
弁護士費用は事務所によって異なりますので、費用が安い事務所を探すという方法もあります。
ただし、相場よりも大幅に費用が安い事務所では、
事件処理が雑
後回しにされる
弁護士の経験が浅い
などの問題がある可能性もあります。
信頼できる事務所のほとんどは相場に沿って料金を設定していますので、相場の範囲内で、できる限り低料金の事務所を探すことをおすすめします。
(4)司法書士に依頼する
司法書士は弁護士よりも低料金で個人再生の依頼を受け付けているので、司法書士に依頼するのもひとつの方法です。
ただし、司法書士に依頼できるのは「書類作成」のみです。
弁護士のように代理人として個人再生手続き全般を代行してもらうことはできません。
個人再生の手続きは複雑ですので、弁護士に依頼してすべてを任せる方が手間もかからなくなりますし、安心できるといえるでしょう。
配信: LEGAL MALL