「肺がんの初期症状」をチェックする方法はあるの?医師が監修!

「肺がんの初期症状」をチェックする方法はあるの?医師が監修!

「肺がん」と聞くと喫煙者の方だけに関係があると思われがちですが、非喫煙者の方でも肺がんになるリスクはゼロではありません。

日本人の肺がんによる死亡数は男性が1位、女性が2位と統計されており、私たちにとって非常に身近で危険な病気です。

この記事では、肺がんの症状・原因・対処法について解説します。肺は私たちが生きていくうえで非常に重要な器官の一つです。これを機会に理解を深め、参考にしてください。

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監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肺がんとは?

肺がんとは、気管支・肺胞の細胞に傷がつくことでがん化してしまう病気です。主に40代から増え始め、年齢が高くなるにつれ罹患率が上昇しています。
肺がんは発生したがん細胞の組織によって、腺がん・扁平上皮がん・小細胞がん・大細胞がんの4種類に分けられ、なかでも腺がんが肺がんの約60%を占めています。
進行していくと血液・リンパの流れにのってほかの臓器に転移することも考えられるため、より早期発見が重要になってくるでしょう。

肺がんの初期症状をチェック

肺がんの主な症状は一般的な呼吸器疾患の症状でもあることから、初期段階で肺がんと判断するのは難しいのが懸念点です。
具体的な症状にはどのようなものが挙げられるのでしょうか。一つずつチェックしていきましょう。

初期には症状が見られないことも

肺がんは、がんの大きさ・位置によって初期症状がはっきりと現れず、特徴的な症状がほとんど見られません。症状が現れるときには進行していることがほとんどです。
そのため、症状が長引いたり身体に異変を感じたりする場合は、速やかな医療機関の受診が必要です。

咳・痰

肺がんの多い症状として咳・痰などが挙げられます。咳・痰が出るのは、気道の粘膜が炎症していたり、過剰な分泌物を排出しようとしていたりするのが原因です。
風邪の場合でも咳・痰の症状が多く見られますが、通常は3週間も続かないといわれています。
症状が2週間以上続き、改善が見られない場合・血痰が認められる場合は医療機関を受診してください。

血痰

血痰とは痰に血が混じった状態を指します。気管支・肺に問題が見られるとき、痰に血が混じることがありますが、そのほかの血が混じる原因としては次が挙げられます。

肺・気管支からの出血

喉からの出血

鼻・口の中からの出血

食道・胃からの出血

さまざまな病気の可能性が考えられますが、気管支・肺からの出血の場合は、血痰は鮮明な赤い色であることが多いです。
また、肺がんの発生した場所によっても血痰の出方が異なるのが特徴です。気道が近い肺門にがんができると、気道が刺激され、咳・血痰・喀痰などの症状が現れます。
その一方で、肺の奥にある肺野部に発生すると気道からは遠い場所になるため、進行するまでは血痰が現れにくいことがあります。症状の違いを理解し、定期的な診断と検査が必要です。

胸の痛み

肺がんが進行していくと、胸の痛みの症状も出てきます。この症状は、がんが大きくなり胸に水が溜まることで肺・心臓などが圧迫され痛みを感じる状態です。
また、がんが神経・肋骨などに広がっている可能性がある場合も考えられます。
ただし、これらの症状はがん以外の肺疾患・食道疾患・心臓疾患などでも見られる症状のため検査を受け、診断を確定させることが重要です。

動悸

肺がんが進行していくと胸の痛みとともに動くだけで息苦しさ・動悸を感じます。
肺にがんが発生していることで、空気が気管支を通りにくくなっている・胸の周りに水が溜まっていることで、心肺が機能していないのが原因です。

発熱

発熱の基準は37.5℃以上を発熱、38℃以上を高熱と定義されています。
発熱もさまざまな病気の症状に当てはまりますが、肺がんの症状としても挙げられています。発熱が5日以上続く場合は、近くの医療機関を受診してください。

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