肩こりの治療法の種類は?
編集部
肩こりは放置したら治らなくなるのですか?
井出先生
症状や疾患によります。例えば肩こりを引き起こす疾患に肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)というものがあります。これは主に加齢が原因となって発症し、肩関節の骨や軟骨、筋肉などの組織が老化して関節包の炎症が起こり、痛みなどの症状が現れるものです。痛みは1~2か月で自然となくなることもありますが、放置すると関節包が硬くなって関節の動きが悪くなります。2週間程度様子を見て肩の痛みが治らない場合には、早めに医師の診察を受けましょう。
編集部
肩こりで整形外科を受診した場合、どのような検査を行うのですか?
井出先生
症状にもよりますが、触診で僧帽筋の圧痛、筋緊張、肩関節可動域、頚椎疾患のチェックなどを行います。その後、レントゲン検査、CT検査、MRIなどを行い、ほかの器質的疾患がないか確認することもあります。
編集部
肩こりの原因となる疾患が見つからなかったらどのような治療をしますか?
井出先生
基本的には疾患に適した治療を行いますが、もし疾患が見つからなかった場合には、痛み止めの薬物療法、運動療法、ハイドロリリース、温熱療法、電気療法などを行います。
編集部
さまざまな治療法があるのですね。
井出先生
はい、そのほか良質な睡眠、バランスの良い食事、適正な体重コントロールなど生活習慣を見直すことも大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
井出先生
肩こりに悩んでいる患者さんで、「きっと四十肩や五十肩だろう」と思ってそのままにしていたら実は腱板と呼ばれる肩周りの筋肉群が損傷している「腱板損傷」や、肩腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着する「石灰沈着性腱板炎」を発症していた、ということもあります。この場合には、病態に応じて適切な処置を行うことで症状の改善が期待できます。もし肩こりに悩んでいる場合は安易に自己判断せず、専門医を受診して正しく診断してもらうことが、治癒の第一歩になります。ぜひ肩こりをあきらめず、困っている場合には整形外科を受診してほしいと思います。
編集部まとめ
四十肩や五十肩で悩んでいる人のうち、多くの人が「何をやっても治らない」「痛み止めで凌いでいる」という状態ではないでしょうか? 実はこれらの症状も正しく対処すれば軽減・改善することができますし、もしかしたらほかの疾患が肩こりの引き金になっているのかもしれません。2週間程度症状が続く場合は、お近くの整形外科を受診してみましょう。
配信: Medical DOC