「四季の旬で恋しいもの、欠かせないもの」なかしましほさんの場合

夏・暑い時期の清涼剤はしぼり立てのスイカジュース

夏といえば、うちはもう「なすと枝豆」でした。おやつといえば枝豆で。そもそも新潟県人って枝豆をよく食べるんですよ。祖母も畑で作っていましたが、家族全員がごはんを食べる前にボウル1個分ぐらい枝豆を食べるんです。私、夏の手伝いがひたすら「枝豆を枝からもぐ」ことでした。夏といえば枝豆もぎに追われていた感じで、すごくイヤでした(笑)。

なすも常に食べていましたね。小なすは漬け物にして、大きいものは揚げびたしや煮物にしたり、汁物に入れたり。子どもの頃はなすってさほど惹かれませんでしたが、今は味噌炒めや焼きなすなどを作ります。地味なおかずですが、昔より好きになりました。

あとは親が育てたすいかも送ってきてくれるんですが、大きなのがふたつも送られてくると(少し)途方にくれます(笑)。そういうときはジュースにすることが多いかな。種ごとミキサーに入れて濾して、ちょい塩を入れて飲むとおいしい。夏にベトナムや台湾へ行くとすいかジュースがあちこちで買えるのですが、暑いときにとってもいい。日本でもすいかジュース、もっと広まっていいのに。

自宅の畑ではトマトにゴーヤ、大葉にえごまの葉を育てています。えごまの葉ってどんな荒地でも生えて、世話いらずの生命力が強い野菜。個性のある香りですが、意外となんでも合うんですよ。醤油とみりん、ごま油に唐辛子で漬けるのをよく作ります。あ、それから夏は桃ですね!また新潟産ですが「白根白桃」という桃のおいしさを去年知って驚きました。今年も食べたいなあ…。

秋・ほっくりやさしい甘さの栗あんをトーストにのせて

お菓子屋としては(※なかしまさんは『foodmood』という菓子店を営まれている)秋というと栗を中心に回るんです。栗の名産地もいろいろあるのですが、年によって出来も収穫量も違うので、その動向を追って注文して、栗が来たら仕込みをして…というのが大変なんですね。うちは栗の皮むきを手作業でやっているので、専門のアルバイトの方もお願いしています。

個人的に栗は大好きですよ。栗あんが好きですね。栗をゆでて中を出して、砂糖ひかえめにサッと煮たもの。栗の水分量を見つつ、そのままでもいいし、つぶしてもいいし、お好みで。トーストにのせて食べるのがおいしいんです。

なかしまさんの栗ゆでの方法はとても手軽なのが嬉しいところ。SNSでも大きな話題になりました。

栗に限らずですが、世の中で「季節のものを出すタイミングが早くなりすぎている」のが、私は気になっています。栗のお菓子、8月ぐらいから始まってしまうんですよ。みなさん、先取りをしたがる。本当の食べ頃の時季に出すと遅れた印象になってしまうんですね。悩ましいところです。

秋の旬というと「きだけ」というきのこを思い出します。小さい頃、父と山におにぎりを持っていって採りにいきました。黄色くて、しゃきしゃきした食感で、のっぺ(※新潟の郷土料理で、具だくさんの汁気の多い煮物)によく入れていました。家にはあけびやざくろ、いちじくの木もあって、秋になるとなっていましたね。

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