「四季の旬で恋しいもの、欠かせないもの」なかしましほさんの場合

「旬を楽しむを、もっと身近に」――アイスムが大事にしているテーマです。四季の旬が食卓にあると、生活はより豊かなものになると思うから。気になるあの人の「旬とのつきあい方」をじっくりうかがう企画、今回はなかしましほさんにお話を聞きました。

お話を伺った人:なかしましほさん

1972年、新潟県生まれ。出版社勤務やレストランの料理人を経て料理家に。2006年よりお菓子工房『foodmood』の活動をスタート。本や雑誌、テレビ、プロデュース業など幅広く活躍。毎日でも食べたくなるやさしく朴実な味わいの世界は多方面から熱い支持を受けています。

春・祖母の畑で摘んだいちごを毎日のように食べて育った

四季の旬というと、思い出されるものは祖母の畑で採れたものが多いんです。私は新潟県の中条町(現・胎内市)というところの生まれなんですが、子どもの頃、春になると畑に寄っていちごを食べるのが楽しみで。今、その畑では両親が野菜を育てていて、季節ごとにいろいろなものを送ってくれます。

いちごは生ならそのまま食べるのが一番好きですね。新潟産の『越後姫』といういちごが小粒で甘くて、とってもおいしいんですよ。

春になるといちごの寒天を添えたあんみつを作って食べるのも楽しみです。いちごをミキサーにかけて裏ごしして、寒天とグラニュー糖で煮て固めて。強火で短時間サッと加熱することで、いちごの甘酸っぱさや風味を残すのがポイント。いちごをそのまま食べているような寒天です。

白玉団子は半量を豆腐で作っています。豆腐の風味も感じられて、柔らかく仕上がるんです。蜜はきび砂糖で作って、ミルクアイスを添えて出来あがり。

いちごだと、ババロアも作ります。これは家族が必ず毎年リクエストしてくれるもの。私はいちごって、軽く火を入れたり、しっかり加熱したりして食べるのも大好きなんです。

今、鎌倉の山のほうに住んでいるのですが、自宅の庭で採れるふきのとうやたけのこも春の楽しみ。ふきのとうは天ぷらや、ふき味噌にして、たけのこは採りたてを生で食べたり、出汁で煮たり。ふきも採れるんですが、一度がんばってアンゼリカ(※砂糖菓子のこと)を作りました。佃煮にもします。

自宅からは海が見えて、気持ちがのんびりします。実家も海が近いので、思い出すというか。といっても日本海と太平洋では海の表情も全然違うんですけれど(笑)。

いちごのジャムを使って作るヴィクトリアケーキもなかしまさんの春の定番おやつ

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