「青魚は健康に良い」というのは有名ですが、どの魚をどれくらい食べればいいのか具体的に知りたい方もいらっしゃると思います。青魚には、体内で生成できない栄養素であるオメガ3脂肪酸(DHAやEPA)が豊富に含まれています。これらには、動脈硬化や心筋症の予防ができ、脳を活性化する働きがあります。そこで今回は、管理栄養士の村瀬さんに青魚の栄養素やおすすめの献立を聞きました。
≫まるで焦げ? 老化につながる「糖化」の原因や予防のための食事を管理栄養士が解説
監修管理栄養士:
村瀬 由真(管理栄養士)
愛知県内大学の管理栄養学科卒業。大学卒業後、精神科病院、給食委託会社での勤務経験あり。幅広い年齢や疾患を持つ方を対象に、献立作成・栄養指導を行う。ダイエットや生活習慣改善へ向けた、食生活の指導が得意。「具体的で行動に移せる記事」をモットーに、食に関する正しい情報を発信して悩みを解決できるようにフリーランスで記事執筆をする。より健康的な食生活の知識を得るために、スポーツ栄養士の資格を目指し勉強中。
「青魚が健康に良い」と言われる理由は? DHA・EPAなどの脂質が関係
編集部
なぜ青魚が健康に良いと言われるのですか?
村瀬さん
青魚には、体内で生成されず食事から摂取する必要がある必須脂肪酸が豊富に含まれています。必須脂肪酸は、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸などがあり、青魚にはオメガ3脂肪酸が特に豊富です。
編集部
オメガ3脂肪酸を摂取すると期待できる効果は何ですか?
村瀬さん
オメガ3脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす、中性脂肪を抑制するなどの効果があります。また、血管内でのコレステロールの蓄積防や脂肪酸の分解により、血栓をできにくくして血液循環を良くするため、血液をサラサラにする効果も期待できるでしょう。また、魚を食べると頭が良くなると言われるように、脳を活性化する働きもあります。
編集部
ちなみに白身魚では健康的な効果がないのですか?
村瀬さん
青魚に比べ不飽和脂肪酸が少ないですが、白身魚も身体に良い食材です。白身魚には、ミオシンと呼ばれるたんぱく質が豊富で、筋肉を増加させるのに役立ちます。低カロリー、低脂質であるため、ダイエットには効果的な食材です。また、コラーゲンが豊富に含まれており、美肌効果も期待できます。
青魚が生活習慣病などの疾患予防に効果的?
編集部
食事で青魚を取り入れるとどのような病気を予防できるのですか?
村瀬さん
食事で青魚を取り入れると、生活習慣病の予防につながります。生活習慣病は、年齢を重ねるにつれて罹患率が増加する傾向にあり、多くの場合は食事や運動などの生活習慣の乱れが原因です。青魚には、血液の流れをスムーズにする効果や、脳を活性化する効果、関節炎を鎮静する効果があるため、長期的な生活習慣病の予防ができます。
編集部
血液の流れがスムーズになることでどんな疾患を予防できますか?
村瀬さん
血液がサラサラになると、動脈硬化や脳血栓、心筋梗塞の予防につながります。血液がサラサラになると、血管内の血流がスムーズに流れるようになり、体内で必要な栄養素や、余分になった老廃物を滞りなく運搬できます。具体的には、血管内の脂肪の蓄積で形成された血栓による血流の滞りを防ぎ、血管が詰まるリスクの改善へつながります。
編集部
脳の活性化は認知症の予防に効果的ですか?
村瀬さん
はい。青魚に含まれるDHAは、脳を活性化させるため認知症の予防に効果的です。DHAは、脂肪で構成される脳細胞の主な成分であり、スムーズな情報伝達、脳細胞の活性化、神経細胞の酸化予防などの働きがあります。記憶力や判断力、空間認識力などの認知機能を高めるため、アルツハイマーの発症予防にもつながります。
編集部
青魚は関節にも効果的なのですか?
村瀬さん
はい。青魚に含まれるEPAには抗炎症作用があるため、関節痛や関節リウマチに効果的です。炎症部位で白血球の活性とともに働き、関節の痛みや腫れを鎮静化する働きがあります。ほかにも、がん細胞が分泌する細胞分解成分の抑制や、炎症性の腸疾患での炎症抑制にも効果が期待でき、炎症をともなうさまざまな疾患に役立ちます。
配信: Medical DOC