●「弟子入り」志願の若者が山形から熊本へ
山から絶え間なく落ちてくる葉っぱの掃除や、お金の回収などの手間を考えれば、「商売として儲からないから、金稼ぎとしては全然おすすめできません。飯は食えないね」と苦笑する。
「これをやりたいと思う人はたくさんいる。でも、少し考えて儲からないと判断してやめる。こういう形態の駐車場は日本では初めてのようですよね」(男性)
あえて「やる」判断に舵を切った酔狂なラブPのノウハウを求めて、無駄に遊ばせている土地の活用のヒントになるのではないかと現地を訪れる人がいるそうだ。
「最近も山形から20代の若者が来て、自分でやってみたいから是非教えてほしいと頭を下げられた。でも、私たちは年金をもらっているし、生活手段は別にあります。おじいちゃんとおばあちゃんの小遣い稼ぎで、ラブPだけで食べるのは難しいと伝えました」(男性)
利用したタクシーの女性運転手から「こういう場所がないから助かります」と感謝されたこともあったそうだ。何が求められるのかはわからない。
●急にやってきた熊本県警も「問題あり」とは言わなかった。
ラブPに法的な問題はないのだろうか。編集部でも公然わいせつの成立について検討してみたが、男性は「法的には問題ない」と説明する。
「法律の条文を見てみると、公然わいせつはつまり、人が見てる前でしたらいかんのですよね。ここはブルーシートで囲ってるのだから関係ない。それに、道端の空き地とかでもなく、個人の所有地だから関係ない」
開業から数カ月して、警察がやって来たことがあった。
「警察3人が来ました。法律には全然触れてないから、彼らは何も言えないんですよ。話題になっているから、どんな人が運営しているのか確認に来たのかな。
張り紙だけは注意されました。最初の張り紙は当時すでに剥がしていたけど、あまり刺激するようなことは書かないでくださいね、と。それからはパトカーの見回りも多くなった。
ここを空き地にしておけば、変な車が来て、ドラッグとかやられると困るじゃないですか。駐車場にして明るくしておけば、そんな問題も起きないし、警察が来てくれたほうが助かります」
当初はポストの中のお金を抜かれたことが一度だけあったそうだが、そうした窃盗も今はないという。
「お客さんのプライバシーがあるから、防犯カメラを着けてません。あきらめてます」
管理人室で寝泊まりしている男性の目があることも、犯罪の温床になることを防いでいるのかもしれない。
配信: 弁護士ドットコム