●70代の男女2人組「夫婦じゃない」「男女の関係でもない」けど「旦那さんには内緒」
そもそも、この2人の関係が気になっていた。夫婦ではないという。
男性は管理人室で寝泊まりしているが、近くには自宅があり、家族もいる。
「これまで不動産、建築関係で働いてきて、本業はいろいろ。今はアルバイト」
女性はずっと主婦で、「この人が主宰する社交ダンスサークルで先生と生徒として知り合ったのよ。踊れるようには見えないでしょ。でも、教え方がうまいと評判なのよ」
これも教室のようなものではなく、自然と人が集まってできたサークルだといい、仲良しのメンバーで旅行するのにアルバイトしているという。
サークルのことは夫に伝えているが、この「ラブP」のことは秘密にしている。
「言ってません。言ったら、変なこと考えさせちゃうでしょ」
「男女の関係ではない」と2人が首を振る。
全国各地で、空き家や空き地が増えて社会問題となっている。もうかっていなくても、趣味で月に3万円を生み、誰かが喜ぶ「ラブP」はすごいのではないか。
素直な感想を記者が伝えたところ、男性は「生活地盤が別にあれば、何だってできますよ。ほとんどの人が生活のために時間を取られているでしょ。私らはもう関係ないから。子育ても終わって、あと何年生きられるかもわからない。最近の若い人は生活に追われて大変だよね。結婚しない人も多いし、親と住んでいれば飯も食えるしね」と返した。
女性は「なんかしているとハリが出て楽しいよ。あなたも年相応に老けちゃダメよ。趣味を持って、年齢よりも若くいなきゃ」。
ラブPにはインスタグラムのアカウントもあったが、すぐに更新をやめた。
「もうやめた。やったら人がもっと来てくれるのかもしれないけど、どうなんだろう」
やりたいことをやっているのだ。
●「10年続けば市民権」ラブPの未来は
「お金がかかるから難しいんだけど、山の上から水を引いてきたいんだ。シャワーがあれば夏場は特に喜ばれるでしょう。誰かカンパしてくれないかな(笑)。
トイレとシャワーがあれば、管理人室を駐車場付きの部屋として2〜3万円で貸せる。ワンルーム駐車場付きのアパートなんて5〜6万円するじゃないですか」
実現できるかはともかく、楽しそうに男性は話す。
「家族は何も言わない。せいぜいラブPは半年しか続かないだろうと思っている。最初はブームだったけど、徐々に浸透してきた。これが10年くらい続けば面白いよね。10年続けば市民権を得られるよ」(男性)
カップルの車が入るラブPの駐車場には屋根がない。きっと夜空もキレイに見えるだろう。
取材が終わると、男性はホウキで落ち葉の掃除を始めた。
2人が80代に差し掛かる頃には、ラブPはどんな形になっているのだろうか。
配信: 弁護士ドットコム