個人再生手続き:弁護士の力と自己申告の選択肢

個人再生手続き:弁護士の力と自己申告の選択肢

3、弁護士に依頼せず個人再生に失敗するとどうなる?

ご自身で個人再生を申し立てても、きちんと手続きができるのであれば問題ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

たしかにそうなのですが、「2」でご説明したように、ご自身で申し立てると失敗するリスクが高まります。

ここでは、もし個人再生に失敗してしまうとどうなるのか、をご説明します。

(1)再度の申立ては可能だが難易度が上がる

個人再生に失敗すると、借金は一切減額されることなく、そのまま個人再生手続きは終了します。

その後に再度、個人再生を申し立てることも可能ですが、失敗した原因を解消しなければ何度申し立てても結果は同じです。

再生計画案が債権者から不同意にされて不認可となったのであれば、その債権者の理解を得てから再度の申立てをする必要があります。

実は「小規模個人再生」ではなく「給与所得者等再生」の手続きを選択すれば、債権者の同意・不同意にかかわらず認可を得ることが可能です。

ただし、給与所得者等再生の手続きは小規模個人再生よりも複雑で細かな計算も必要になるので、難易度が上がります。

(2)弁護士に依頼すると二度手間となる

いったん個人再生に失敗した後に、弁護士に依頼して再度申し立てることも可能です。

しかし、一度申し立てていたからといって手続きが簡略化されることはなく、一からのやり直しとなります。

結局、二度手間となってしまうのです。

1回目の申立ての際にかかった印紙代や実費なども、無駄になってしまいます。

(3)自己破産せざるを得なくなる可能性もある

個人再生に一度失敗した後もご自身での申立てにこだわる方もいらっしゃいますが、失敗した原因を解消できずにいると、問題が深刻化していくおそれがあります。

借金は減額されないばかりか遅延損害金が加算され、債権者からの催促も厳しくなってくるでしょう。

借金額が増えると個人再生による返済額も増えるので、返済可能な再生計画案を作成できない場合は自己破産せざるを得なくなる可能性もあります。

遅延損害金が加算されることによって借金総額が5,000万円を超えて個人再生を利用できなくなり、自己破産しか選択肢がなくなるケースもあります。

4、個人再生を弁護士に依頼する4つのメリット

とはいえ、弁護士に依頼する際に気になるのはその費用でしょう。

本項では、その費用に見合ったリターンがどのくらいあるのか、念のため具体的に確認してみましょう。

(1)取り立てがすぐに止まる

まず、弁護士に個人再生を依頼した時点で、貸金業者からの取り立てがすぐに止まるというメリットがあります。

弁護士は、個人再生の依頼を受けると最初に「受任通知」を各債権者宛に送付します。

この受任通知が届いた後は、貸金業者は債務者に対して直接取り立てをしてはならないことが貸金業法で定められているのです。

通常は受任通知は速達で送付されますので、早ければ依頼した翌日には貸金業者からの連絡が一切なくなります。

ご自身で個人再生を申し立てる場合には、実際に裁判所に申し立てて、「開始決定」が出る間では取り立てが止まりません。

債権者からの催促を受けながら申し立ての準備を進めなければならないことになります。

その点、弁護士に依頼すればすぐに取り立てが止まりますので、落ち着いて生活をしながら、弁護士との打ち合わせにも臨むことができます。

(2)複雑な手続きをすべて任せられる

弁護士に依頼すれば、その弁護士が代理人として個人再生のすべての手続きを代行してくれます。

複雑な手続きをご自身で行う必要はなくなりますので、何も考える必要はありません。

仕事や家庭生活を安心して送ることができるのです。

(3)個人再生に成功する可能性が高くなる

複雑な個人再生の手続きも、慣れた弁護士にとっては難しいことではありません。

難しい事情があるケースでも、弁護士の専門的な知識やノウハウを活用することによって、個人再生を成功に導くことでしょう。

(4)柔軟な解決策を考えてくれる

ひと口に個人再生といっても、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生は給与所得者等再生ほどには手続きが複雑ではなく、返済額も低額に抑えやすいですが、債権者からの不同意意見が多いと認可が得られないというデメリットもあります。

一方、給与所得者等再生は債権者の意向にかかわらず法律上の要件を満たしていれば認可が得られますが、細かな要件が定められていて手続きが特に複雑であることと、返済額が高額になってしまう可能性もあるというデメリットがあります。

給与所得者の方でも小規模個人再生を申し立てることは可能ですし、逆に個人事業主の方でも収入が安定していれば給与所得者等再生を申し立てることができます。

しかし、一般の方にとっては、どちらで申し立てるのが得策かの判断はなかなか難しいところです。

弁護士に依頼すれば、ご依頼者の事情に応じてベストな選択をすることが可能になります。

また、ご依頼者の状況によっては、個人再生ではなく、任意整理や自己破産など他の債務整理方法の方が適している場合もあります。

借金問題に強い弁護士であれば、幅広い視点からご依頼者にとって最善の解決方法を柔軟に考えてくれるので、お一人で問題に立ち向かうときよりも良い結果が期待できます。

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