「慢性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状についても解説!医師が監修!

「慢性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状についても解説!医師が監修!

慢性リンパ性白血病の症状

慢性リンパ性白血病は進行が遅いため、初期には病気の発症に気付かないことが多い白血病です。
なお、初期の段階では症状が乏しいため治療開始時期は明確には示されていません。治療を開始するタイミングは明らかな初期症状が出てくるか病気の進行が急に早まった場合になります。

初期は無症状

慢性リンパ性白血病は進行がゆっくりなため、初期の段階では自覚症状がほとんどないといわれています。
そのため、健康診断やほかの疾患の血液検査の時に白血球数の数の異常に気付き、慢性リンパ性白血病の発症がわかることが多いようです。

リンパ節の腫れ

10センチ以上のリンパ節およびリンパ節の腫れが認められる場合や、末梢血中のリンパ球の急速な増加がみられる場合があります。このような症状が出てくると、がん化したBリンパ球を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査や染色体検査などが必要です。
また、腫れているリンパ節の病変を採取して診断や病型の確定のために生検が行われ、治療方法や開始時期が決定されます。

持続的な疲労感

慢性リンパ性白血病を発症すると以下の症状が持続的に続く場合があります。

人の介助が必要な程の全身の倦怠感や疲労感がある

感染症にかかっていないのに38度以上の発熱が2週間以上続いている

大量の寝汗をかく

慢性リンパ性白血病と診断されていて上記のような症状が持続している場合は、治療を開始する時期かどうかの判断が必要になります。

肝臓・脾臓の腫れ

白血病の症状では造血不全(正常な血液を産生できない)の症状が出ます。そして造血不全が起こり浸潤すると臓器障害が生じます。その場合、肝臓や脾臓が腫れて巨大になるなどの症状が出現するでしょう。
また、健康診断などで肝脾腫が発見される場合もあります。脾腫自体は病気ではありませんが脾臓が腫れて肥大すると過剰な赤血球が捕捉され蓄えることで貧血が起き、白血球や血小板が破壊される場合もあるのです。

体重減少

嘔吐や倦怠感・体重減少が起こる場合があります。嘔吐や倦怠感により、食事を摂るのもつらくなるでしょう。
しかし、白血病の場合、ヘモグロビンを増加させるたんぱく質や鉄分を多く摂った方がいいといわれています。たんぱく質や鉄分はヘモグロビンを増加させる効果があります。以下のものを積極的に摂取するようにしましょう。

魚や肉

卵やチーズ

ミルク

ナッツや豆類

また、鉄分はプルーン・レーズン・豆類などに多く含まれています。そして、ビタミンB12・ビタミンC・葉酸を含んだ食品も一緒に摂取する工夫をしましょう。

出血・貧血

骨髄中に慢性リンパ性白血病の細胞が占める割合が増えると、血の産生が邪魔され正常な白血球が減少して感染症を発症するリスクが高まります。また、赤血球や血小板の数が減って、出血しやすくなったり貧血症状が起こったりするのです。
さらに、ステロイド治療の効果がない自己免疫性溶血性貧血や血小板減少症を合併している場合には、輸血を行う場合がありますが、輸血はヘモグロビン値によって決められます。また、がん治療が原因の場合は治療の時期を見極める必要があります。

慢性リンパ性白血病の治療

慢性リンパ性白血病では、前述の症状が確認されるまでは治療を開始しませんが、開始のタイミングがきたと判断されると治療を進めることになります。
なお、白血病の治療では主に薬物療法を行います。薬物療法は治癒やがんの進行を抑えることや症状を緩和させるために行うのです。また、薬物療法だけで改善がみられない場合は外科治療や放射線治療を併用します。

薬物療法

慢性リンパ性白血病の治療は抗がん剤による化学療法になります。各療法ごとに使われる薬剤の種類が決まっています。

FCR療法

BR療法

FC療法

フルダラビン単独療法

新規薬剤

どの薬物療法にするかは、合併症や患者さんの年齢などを考慮して決定されるのです。なお、FCR療法は3日間の点滴と内服薬の投与を行います。
なお、薬物療法は免疫力が低下するため、副作用には注意が必要です。

支持療法

支持療法とは、慢性リンパ性白血病の根本的な治療ではなく、起きている症状を改善し生命の維持を目的とする治療法です。そのため、貧血に対しては赤血球輸血・血小板輸血などを行い、白血球の減少では生物学的製剤の投与を行います。また、白血球の減少で誘発する敗血症や肺炎などの感染症には抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬などで治療を行うことになるでしょう。
ただし、血小板輸血は頻回に行うと血小板に対する抗体が体内にできるため輸血のタイミングは慎重に考慮する必要があります。

放射線療法

放射線療法は、がん化した組織に放射線をあてて治療をします。放射線をあてても痛みや熱を感じることはありません。また、放射線は細胞内のDNAを切断してダメージを与えることができます。なお、放射線治療は体の外側に放射線を当てる「外部照射」が一般的です。
その他に「小線源治療(放射線物質を体内に挿入する)」「核医学治療(飲み薬や注射)」もあります。放射線治療にかかる時間は治療方法で変動しますが、約10~30分で平日に毎日行うのが一般的です。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は「自家移植」と「同種移植」のどちらかを用いた移植が行われます。造血幹細胞移植を行うとさまざまな副作用があり、合併症が起こるでしょう。
関連する副作用は以下のものがあります。

吐き気や嘔吐

口内炎

感染症

貧血

また、肝臓・腎臓・心臓・肺・脳・脊髄などにも障害が発生する場合があるのです。
なお、造血幹細胞移植は一般的な抗がん剤治療と比較すると毒性や合併症の危険性が高いため、適応者が限られ若年者や合併症が少ない高齢者に絞られます。

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