昔とちがう?変わらない?中学受験のいまむかし

昔とちがう?変わらない?中学受験のいまむかし

イマドキの中学受験は、ひと昔前と比べて変わった・難しくなったと聞くけれど……。具体的にどんな風に変化したのでしょうか?ご自身も中学受験を経験したベテラン受験指導家・宮本毅先生に、「令和の中学受験」で問われているもの・求められているものを聞いてみました。

中学受験は本当に「変わった」のか

中学受験は一昔前と比べ「変わった」とする論調が、世の中的には主流です。

しかし、相変わらず高偏差値の学校の人気が高いですし、相変わらず子ども達は深夜まで勉強しています。

これだけ「価値観の多様化」が叫ばれている中で、なんだか中学受験業界だけ取り残されている感があります。

難易度が大きく変化した学校もある

そうはいっても「全く変わらない」というわけでもありません。

お父さんお母さん世代からすると「え? この学校が?」と思えるような学校の偏差値が爆上がりしていたりするなんてこともあります。

偏差値が爆上がりする理由は主に三つあります。

ひとつは「共学化」。

昨今は共学人気が非常に高まっているので、女子校が共学化するだけで、志願者数が増えます。

順心女子学園→広尾学園、戸板女子→三田国際学園、嘉悦女子→かえつ有明といったところがこれにあたりますね。

広尾学園なんてもはやトップ校の一角です。

午後入試の導入も、志願者数増加の一因となります。

私の記憶が正しければ、最初の午後入試導入校は高輪中で、2002年に「算数午後入試」を導入したのがその走りです。

以来、午後入試を導入する学校は年々増加し、現在は首都圏の約150校が午後入試を導入しています。

これにより併願作戦のバリエーションが増え、一校も合格しない「全落ち」を回避できるケースも増えました。

一方、午後入試を導入する学校は難化する傾向が強くなっています。

東京農大第一東京都市大恵泉女学園といった学校は一昔前と比べると本当に合格しにくくなってしまいました。

偏差値が爆上がりする三つ目の理由は「系列校連携協定」です。

系列校連携とは、大学や短大の関連中学や高校と、大学が連携することです。

「附属校」と混同されがちですが、原則として、附属校は大学への無試験進学が認められているのに対し、「系列校連携」は推薦枠のみを有し、無試験進学は認められていない学校を指します。

たとえば2019年に日本大学と系列校連携協定を結び日出学園から名称変更した目黒日大や、明治大学と協定を結んで2026年から明治大学付属世田谷となる予定の日本学園などがこれにあたります。

系列大学への推薦入学への可能性を高めつつ、他大学の受験も現実的な進路として考えられるわけで、大学と「系列校連携協定」を結んだ学校は、軒並み倍率を上げています。

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