「赤ちゃんのアレルギー検査」は何歳から受診できるの?費用についても医師が解説!

「赤ちゃんのアレルギー検査」は何歳から受診できるの?費用についても医師が解説!

赤ちゃんのアレルギー検査はいつから調べられる?Medical DOC監修医が検査項目や食物アレルギーの対処法等を解説。気になる症状は迷わず受診を。

≫「アレルギー検査」で何がわかる?検査の種類から結果の見方まで医師が解説!

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

赤ちゃんのアレルギー検査とは?

赤ちゃんのからだに、かゆみや蕁麻疹が出たら、アレルギーの症状かと不安になってしまう方もいらっしゃるでしょう。
軽症であれば、アレルギー症状は短時間で自然と改善しますが、そうでない場合には早急に専門医療機関を受診する必要があります。
今回は、赤ちゃんのアレルギー検査や、実際の対処方法などについて解説します。

赤ちゃんのアレルギー検査とはどんな検査?

アレルギー反応の概要をつかむための検査としては、IgE抗体検査、皮膚テスト、血中好酸球数などがあげられます。
赤ちゃんに食べ物などに関連するアレルギーがあるのか、何に対してアレルギー反応を起こすのか、検査する場合に血液検査が実施されることがあります。
血液検査だけですべてのアレルギーの診断を確定することはできませんが、血液検査結果を参考にしてアレルギー感作が陽性であるかどうかが評価できます。
血液検査自体が赤ちゃんの負担になることも時に考えられますが、検査結果と臨床的な症状を組み合わせた臨床判断が重要となります。
血液検査自体は、数分で処置完了しますし、結果が出るのは1週間~2週間程度かかる場合もあります。

赤ちゃんのアレルギー検査の検査項目は41項目必要?

赤ちゃんでも受けられるアレルギー検査として、「ドロップスクリーン検査」が知られています。
この検査では、上肢の血管から採血して測定する従来のアレルギー検査とは異なり、指先に小さな針を刺してたった1滴の血液からアレルゲンを調査することができます。
ドロップスクリーン検査をすることで、花粉や食べ物、ハウスダストやダニなど41項目のアレルゲンを調べることが可能ですし、この検査方法であれば検査した翌日以降にすぐに結果が判明します。
アレルギー症状は、そのままの状態をしばらく放置しているとアレルギー性鼻炎だけでなく、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などさまざまなアレルギー疾患を悪化させて、アレルギーマーチという悪循環に陥るリスクもありますので、できる限り適切にアレルゲンを特定して、早めに対策することが重要です。

赤ちゃんのアレルギー検査はどこで受けられる?(小児科・アレルギー外科等)

気管支喘息やアレルギー性鼻炎など、鼻や気道に関連するアレルギー症状を呈している場合には、呼吸器内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
アレルギー性結膜炎など目の症状が目立つ際には眼科、赤ちゃんの食物アレルギーは小児科、金属アレルギーや皮膚の蕁麻疹などがある場合には、皮膚科などで検査されることを推奨します。

赤ちゃんのアレルギー検査の費用は?

赤ちゃんにアレルギーの症状があり、担当医にアレルギー検査が必要であると判断された場合には、アレルギー検査には健康保険が適用されて、おおむね診察料や検査代も含めて5000円前後の自己負担になることが多いです。
ドロップスクリーン検査は、注射せずにアレルゲンが評価できる低侵襲な検査方法であり、その実施費用は、保険を適用して約5000円、赤ちゃんの場合は医療症があれば500円のみで完結できます。

赤ちゃんのアレルギー検査はいつから受けたほうがいい?0歳児は検査できない?

赤ちゃんのアレルギー検査を実施するのに、基本的には、月齢・年齢の制限はなく、0歳児でも血液検査や皮膚プリックテストは受けられます。
ただし、赤ちゃんに対してアレルギー検査を行った結果、「何らかのアレルギーがある」と判明しても、実際にアレルゲンに曝露されてみなければ、「どれだけ曝露されたら、どのようなアレルギー症状が出るか」までは断定できないことが通常です。
赤ちゃんに多いアレルギーは、卵・牛乳・小麦であり、実際にアレルギー症状を疑う出来事やイベントがあってから、アレルギー検査を受けると良いでしょう。

赤ちゃんが気を付けたほうがいいアレルギー

アレルギー症状を放置すると、花粉症に伴う鼻水やくしゃみといった症状だけでなく、ダニ・ハウスダスト・はちみつなどに伴う喘息などの呼吸器系疾患、アトピー性皮膚炎などを合併して、アレルギー症状が連鎖して広がるアレルギーマーチの状態になるリスクがあります。

卵、牛乳、小麦、大豆による食物アレルギー

アレルギーは、一般的にはハチ毒や、抗菌薬、解熱鎮痛薬などの薬剤、そして鶏卵、牛乳、小麦、大豆、ピーナッツ、そばなどの食べ物を摂取して、アレルギーを起こす物質に体が曝露されることで発症します。
アレルギーの原因となった物質を特定するためには、アレルギー専門外来で血液検査や皮膚プリックテストといった検査が行われます。
多くの場合には、アレルゲンと呼ばれる抗原に曝露されてから30分以内に目のかゆみに伴う眼球充血、鼻閉感などで発症して、そののち顔面が蒼白になり、口唇および舌の粘膜が腫脹して浮腫反応が起こります。
また、胸などにおける発赤症状や全身に葦麻疹が形成されて気分不良や悪心・嘔吐などの消化器症状が認められる場合も存在しますし、それ以外にもアレルギー症状は多種多様であると言われています。

猫アレルギー

猫アレルギーが発症する頻度は、過去の疫学調査によれば成人の5人に1人程度の割合と考えられていて、決して珍しい病気ではありません。
過去の調査では、アレルギー患者の発症原因は、花粉が約70%、ハウスダストが約38%、ダニが約15%、猫を含むペットは約10%であったと報告されています。
猫アレルギーが引き起こされる主な原因物質は、猫の体表面や唾液中に含まれる「Feld 1」(カナ表記:フェルディーワン)という物質であり、猫アレルゲンはダニアレルゲンよりも非常に小さな粒子であると考えられています。
猫の身体に付着しているアレルゲン物質が、空中を長く浮遊して吸い込んでしまう、あるいは天井や壁、床やカーテンに猫の体毛が付着している空間で居住している人は抗原物質に常に曝露される危険性があります。
特に、猫アレルギーを所有している人の免疫系は、猫のフケや皮膚細胞、唾液や尿などの排泄物によって放出された極めて小さい粒子のタンパク質に反応してしまうことで、鼻汁や目のかゆみなどさまざまなアレルギー症状を引き起こすことが知られています。
ペットの毛にフケなどの浮遊物が集結して、猫が生息している家の空間のあちらこちらにアレルゲンがばらまかれて、家具や寝床、カーペットに抗原物質がたまる、あるいは空中に長時間フケが漂うことによってアレルギー反応が出現するのです。
猫アレルギーの典型的な症状は、花粉症などと類似しており、目のかゆみと眼球の充血、鼻汁やくしゃみ、鼻閉感、喉の炎症や咳嗽など多彩な症状が認められます。
ペットのふけや体毛などに触れた直後から、顔全体や舌がむくんで血管浮腫が生じる、あるいは皮膚が掻痒感を伴って皮膚炎が起こり全身の皮膚に赤みが生じることもあります。
猫が近くにいるだけでアレルギー症状が出るようになった人は、アレルギー専門外来を標榜している医療機関でアレルギー検査を受けることを推奨します。

犬アレルギー

犬が体を掻いたりブルブル体を振ったりするときだけではなく、ブラッシングのときもアレルゲン物質が空中に舞って浮遊する可能性は高いため、犬アレルギーの場合には注意が必要です。
犬を触ったときだけでなく、同じ空間にいることで鼻のかゆみや鼻水、くしゃみなどの症状が出ることも考えられます。
犬アレルギーを疑う際には、最も有効なのが内科・耳鼻科・皮膚科・アレルギー科などの病院で検査をしてもらう方法で、皮膚検査によるプリックテストと血液検査のRAST(Radio Allergo Sorbent Testの略称)などがあります。
犬アレルギーの人が、どうしても犬と同居する環境に曝露される際には、ブラッシングで犬の皮膚トラブルを防ぐ、あるいは犬アレルゲンを吸ってしまわないように、ブラッシングする際はメガネやマスクの着用を忘れずに実践しましょう。

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