●統合失調症ってどんな病気?
「人は、日々ものを考え、感情を持って生活しています。統合失調症は簡単にいうと、脳に何らかの異常が起こり、脳内の情報伝達物質のバランスが崩れることで、思考や感情がまとまらなくなる状態となる精神の病気です」(小幡さん 以下同)
統合失調症は、10代後半から30代と、比較的若年層に発症するケースが多い。症状は、幻覚や妄想などが表れる「陽性症状」、意欲の低下などが起こる「陰性症状」、ものごとに臨機応変に対応しにくくなる「認知機能障害」の3つに分類できる。
●「子どもの言動がおかしい」と感じたら
小幡さんによると、統合失調症の大きな特徴のひとつは「自覚症状がないか、気づきにくい」ことなのだそう。本人の言動にそれまでにない奇妙さが目立つようになって、家族など周囲の人間が発症に気づくケースが多いという。
もしも子どもに以下のような兆候が見られたら、統合失調症の症状である可能性もある。
□活発だったのに、ぼんやりすることが多く部屋にこもりがちになった
□「自分の思考が外部に漏れている」などと訴える
□「常に誰かに監視されている」などと訴える
□話の内容につじつまが合わないことが多く、同じ話をくり返す
□意欲・気力の低下が著しく、何をするにも億くうがる
□「すれ違う人やみんなが自分の悪口をいっている」と異様に周りの目を気にする
□きれい好きだったのに、身だしなみや整理整頓に気を使わなくなった
□極度の不安や緊張感、必要以上の慎重さを持って行動するようになった
□ひとりでニヤニヤ笑う、独り言が多くなった
□極度の不眠、あるいは過眠
●統合失調症は日々の変化をキャッチすることが肝心
「統合失調症の多くは少しずつ進行し、日常生活を共にしている家族ですら見過ごしがちであるのが現状です。後から振り返って『そういえばあの頃から様子がおかしかった』と気づくことも少なくありません」
例えば、統合失調症の典型的な症状である妄想。罹患者が「テレビ番組のなかで、自分を話題にしている」と感じても、最初は「こんなことを周囲にいったらおかしいと思われる」と、本人は誰にも話さずに黙っている。しかし、症状が悪化するにつれて、周囲に口にするようになるパターンもある。
「明らかに奇妙な言動が表れたときは、すでに発症してから数カ月から1年が経っているということもあります。普段から変化に気づく姿勢が必要です」
昔は統合失調症といえば入院治療が当たり前の時代だったが、近年は通院による薬物治療で快方に向かう。統合失調症への知識と理解を持ち、もしものときに役立てよう。
(ノオト+北東由宇)