▼このシリーズの記事一覧▼
vol.01.ママが息子を「気持ち悪い」と感じるとき◀
vol.02.息子が母親を「気持ち悪い」と感じるとき
vol.03.思春期の息子とママのほどよい距離とは?
しかしその一方で、「かわいい」と溺愛状態だった息子のことを、お母さんが「最近気持ち悪くなってきた」と言い出すこともあるよう。
お母さんが「気持ち悪い」と感じるようになるのは、どんなとき? そのきっかけや理由とは? 多数のママや子どもたちの相談を受けてきた「清洲心理相談室」のカウンセラー・森本千恵さんに聞いた。
「親子間で『気持ちが悪い』という感情が生まれるのは、もともとお父さんと娘の関係が多いですよね。これは、娘が思春期になり、性の目覚めがきてからも、幼い頃と変わらずお父さんがベタベタしたり、小さな子どものように扱ったりすることで、娘がお父さんを異性として意識し、性的に侵入される感覚から『気持ち悪い』と感じるからです」(森本さん 以下同)
それと関連し、お母さんが息子を「気持ち悪い」と感じるのは、もともと「性的な侵入」に対して女性のほうが気持ち悪いと感じやすいこと、近親を無意識に本能的に避けようとする傾向があることが背景にあるのではないかという。
とはいえ、父娘間では昔からよく聞く話だけど、母親が息子に対して感じる話は以前ならあまり聞かなかったような…。
「今はお母さんと仲良しの男の子が多いので、お子さんとの距離が近すぎて、息子の変化を受けとめきれず、異性として意識してしまうのでは?」
父親はもともと仕事が忙しいこと、家にいる時間が少ないことなどから、家族の中では距離を置きがち。すると、母親の気持ちがどんどん息子に傾き、母と息子の距離が近くなりすぎることがあるそう。
「また、幼少時の親子関係に問題があった女性は、結婚すると、子どもの頃に得られなかった愛情を夫に求め、過剰に依存する傾向があります。しかし、その甘えや依存が受けとめてもらえないと、やはり子どもに向かってしまうことがあるのです」
●大人になる息子が「気持ち悪い」のは当然。変わらないほうが危険
ただし、小さくてかわいかった息子がゴツくなるなど、「男」になっていく様子を「気持ち悪い」と感じるのは、ある意味正常だと森本さんはいう。
「男になっていく変化を『気持ち悪い』と感じたら、お母さんのほうから一歩引くのが大事。幼い頃の息子と同じ距離感のままのほうが危険です」
子どもが大人になっていくのは、うれしく頼もしく、その一方で寂しくもある。だが、幼児期の関係がずっと続くわけではないのは当然のこと。
「息子の思春期は、幼児・児童の息子といったん別れて、今度は大人としての息子との付き合いを始めていく時期です。息子が大人になる変化において、非常に大切な時期。『気持ち悪い』と感じるのは、それまでの関係ではいけないというサインなんですよ」
かわいかった息子を「気持ち悪い」と感じたら、大人になる変化の時期として受け止め、一歩引いてみること。そこから息子との新たな関係が始まるようだ。
(田幸和歌子+ノオト)