そうした仕事のブランクの不安を解消する手段のひとつが「ママインターン」だ。キャリア講座や職場体験というステップを踏み、就労を目指すママと企業のマッチングを行っていく。利用してみたいけど、一体どうすればいいの? NPO法人ArrowArrowの代表理事、堀江由香里さんに聞いた。
「私たちの団体の場合、下記のステップで再就職を支援しています」(堀江さん 以下同)
・キャリア講座…自分のスキルの棚卸しを行い、強みを可視化。1日3時間。
・実践型ワークショップ…実際に企画を出す擬似会議などを行う。全3回。
・職場体験…2回から6回の職場体験で、企業との相性を見ていく。
「特に不安に感じるのが、職場体験だと思います。私たちの場合は職場体験の初日の顔合わせの日に、スタッフが出来る限り同行してサポートを行います。同行が難しい場合は、事前に企業との打ち合わせを実施するようにしています。インターン中は、その後のミスマッチングで問題が起きないよう、企業側とママ側、どちらも相性を見極める大切な期間になります」
企業とのマッチングが成功すると、勤務は週2~3回、1日5時間程度のペースで扶養控除内の範囲でスタートすることが多いという。
少ない勤務時間で始めてリズムがつかめてくると、子どもの学校の長期休暇のタイミングなどで、フルタイムへの移行などを検討していく。
●ママインターンに参加する企業が、育児中の女性に理解があるワケ
再就職するにあたり、ブランクのある女性が持っておくべき心構えとは?
「子どもが病気になったとしても、休んで当たり前ということではありません。状況がわかった段階で早めに連絡するなど社会人としてのマナーを忘れないように、と伝えています」
保育園の託児時間内での就労を望むなど、制約のある女性を起用するのが初めてという企業もある。ママインターンでは「子どもが風邪をひくと、休む可能性があります」など、企業側で対応を迫られる可能性のあることを、事前に伝えているという。
●無理なく、就労を継続するために
ではママが再就職する際、心構えとして大切なこととは?
「企業側と雇用される側も、人と人との関係で成り立っています。自分のできること、できないことを雇用者側に伝えていくことが大切です」
ちなみに、インターン中に夫と話し合っておいた方がいいことはあるのだろうか。
「育児と仕事を両立させるために、育児や家事の分担について、家族から理解を得ることは大切です。ですが、ママインターンに参加する女性の多くは、仕事に対する自信を失っていて、家族に協力が必要であることを主張できないようです。復職後は、家事や育児を自分ひとりで行える3時間程度の勤務時間帯で行おうとする方が少なくありません。でも、それだとママの負担が増えるだけ。できれば早めに相談するのがいいと思いますが、仕事に慣れ、成功体験を積み重ねることで仕事にやりがいを感じ始めると、夫に協力を頼み、勤務時間を増やしていくことが多いようです」
ママインターンで企業とのマッチングに成功した参加者は、継続して就労できる確率も高い。ブランクに不安を感じている場合、一歩踏み出す手段として検討してみてはいかがだろうか。
(石水典子+ノオト)