将来に向けて親が子どもに教えておきたいお金のこと

第3回 子どもの「マネー教育」って、どんなもの?
子どもが将来、自分で食べていく力をつけるまでに、親はいったいどんなことを教えれば良いのだろうか。

「将来を見据えて、お年玉など大きなお金は、一部貯金にまわす習慣をつけましょう。自分のお金として貯金する口座をつくると良いですよ」

そう話すのは、NPO法人マネー・スプラウト代表で、ファイナンシャルプランナーの羽田野博子さん。

幼い頃から貯金の習慣がついていると、社会人になったときに、毎月貯金を考えるようになるという。

おこづかい教育ではまず「ウォンツ(ほしいもの=お菓子やオモチャなど)」だけでなく「ニーズ(必要なもの、文房具など)」も自分で買うようにし、やりくりを教える。そこから、自分で管理する範囲を徐々に増やしていくのがコツだそう。

「高学年になったら、お出かけのたびにお金を渡すのではなく、交際費も普段のおこづかいに含めましょう。中学生になったら、毎月かかるわけではない洋服代やヘアカット代、交通費や飲食代などもおこづかいに含めると、貯めて使うことを覚えたり、余ったお金をほかにまわしたりする工夫も生まれますよ」

また、部活の遠征や合宿などは、事前に何にどのくらいかかるのかを自分で調べるよう伝え、「臨時予算請求書」を書く→「決算する」ことを教えると、「特別なこと」だと認識し、お金の大切さがわかるそう。

たくさん買い物をした子ども

●塾代などの教育費、子どもには伝えるべき?

さらに、子どもが大きくなると、気になるのが教育費。「子どもにはお金の心配なんてさせずに、勉強に集中させてあげたい」と思うママも多いかもしれないが…。

「真剣に勉強してほしいなら、塾代などの金額を子どもに教えるのも良いでしょう。塾の費用は、振り込みや口座引き落としが多いですが、機会があれば現金で子どもに見せておくのがオススメです。わざわざ『〇〇円もかかってるのよ!』などと言わなくても、現金を数えるだけで『こんなにかかっているんだ』という実感がわくので、頑張る子も多いと思います」

ところで、「もっと幼いうちに、子どもにお金のことを教えれば良かった…」と後悔しているママもいるのでは? 子どもがすでに中高生になっている場合、今さら金銭感覚を学ばせるのは難しいのだろうか。

「いいえ、中学生でも高校生でも、お金のことを学ぶのに遅いということはありません。まずはミニ版として月の予算を決め、『これからはお金の管理を任せるね』といってやりくりさせてみれば良いのです。そのうちに慣れたら、定期代や携帯代もおこづかいに含めて渡し、自分で管理するようにさせましょう」

ひとつ忘れてはいけないのは、「〇〇ちゃんのうちは~」などと言われても「ひとはひと、うちはうち」として、揺るがない教育方針を持つこと。また、「この間はくれたのに~」などということがないよう、一貫性を持つこと。

振り返ると、自分自身がお金に対する行動に一貫性を持っていないことに気づかされる人もいるかもしれない。子どものお金の教育を考えるときは、親も一緒に学び直す良い機会になりそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

羽田野博子
羽田野博子
NPO法人マネー・スプラウト代表 ファイナンシャルプランナー(FP)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。