●現金の出品はマネー・ロンダリングにつながる可能性
現金の出品による一番の懸念は、マネー・ロンダリングの行為。マネー・ロンダリングとは和訳すると資金洗浄のこと。例えば、窃盗や強盗などで手に入れた大量の紙幣を出品・購入してもらうえば、売り上げとして同額の別紙幣が手に入ります。すると、不当に手に入れた紙幣は正当な紙幣へと変わってしまうのです。
●現金の売買はクレジットカードの現金化の可能性も
もう1点、今回の一件の背景として考えられているのが、クレジットカードの現金化。クレジットカードは、持ち主の社会的信用や経済的信用に応じて、「キャッシング枠」で一時的に現金を引き出すことができます。
例えば、Aさんがお金に困り、クレジットカードで30万円を現金化。そうして生まれた30万円を40万円の値をつけて販売し売れれば、10万円の利益が生まれます。実際にはクレジットカードの利息も発生するため、ピッタリ10万円の利益とまではいかないまでも、もし上手に売りさばいてしまった場合、短期間で暴利を稼ぐことも可能になります。
それゆえ、こうした現金化を規約違反として禁じているクレジットカード会社も数多く、発覚した場合クレジットカードが利用できなくなることも多いのです。
メルカリは利用規約上でもマネー・ロンダリングを目的とした販売行為を禁止しており、今後もこの規約違反に当たる行為として取り締まりを強化していく予定(ちなみに、記念硬貨などのコレクション性が高い貨幣については該当外)。現金の売買がなぜNGなのかがよくわかる一件。今回の報道でマネー・ロンダリングを理解した人も多そうですね。
(文・黄金坂ゆみ/考務店)
参考 SMBC日興証券 http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ma/J0114.html