●電話は社会との接点。電話対応のしつけもしないまま、自宅の電話を取らせるのはNG!
「皆さんは、こんな経験ありませんか? 知り合いに電話したとき、電話口から聞こえてきたのはまだ電話対応もままならない幼児。言葉にならない言葉を何やら話しているのですが会話にならない状況。受話器の遠くからは“誰~、誰~?”と、なかなかかわってくれないママ…。または、話はできるけれど、ちゃんとした対応マナーができていない子ども…。相手は用事があって電話をしてきているのですから、“可愛いからいいだろう”と考え、電話対応のしつけもしないまま子どもにおもちゃのように取らせるのは、やはり避けた方がいいのではないでしょうか?」(立石さん 以下同)
今や、ケータイ電話の普及にともない、個人それぞれが電話を持つのが当たり前の時代。しかし、まだまだ自宅に固定電話を置いている家は多い。電話というのは大事なコミュニケーションツールであるとともに、声だけの情報で相手にこちらのイメージを印象付けてしまうツール。子どもが興味を持ったから、可愛いからとしつけもせず取らせることは危険だという。
「田舎のおじいちゃん、おばあちゃんは、孫が電話口に出てきたら喜んでくれます。でも、電話をかけてくる人はいろいろです。幼稚園関係、学校関係、会社関係、地域関係…。つまり、電話は社会との接点であることを忘れてはいけません」
●子どもに自宅の電話を取らせるなら、丁寧語を話すマナーを教える絶好のチャンスと考えよう!
だからこそ、しつけのチャンスでもあると、立石さんは提案します。
「3歳過ぎて子どもがきちんとした会話ができるようになってからは、むしろ電話を活用して丁寧語を話すマナーを教えてみてはいかがでしょうか? 電話が鳴ったとき『もしもし、どちら様でしょうか? お母さんにかわります』というフレーズを教えます。覚えるのが難しい場合は、電話の前に書いて貼っておきましょう。教えると子どもは意外とできるものですよ! そうすれば、先方からも“お行儀のよいきちんとしつけている家庭だわ”と思われ、好印象ですね」
ただし、電話を取らせるときには、いくつかの注意ポイント
もあるそう。
「最近では、個人情報などの観点から、電話に出るときに苗字を名乗らない家庭も多いですね。そういう方針の場合は、子どもにもその旨をしっかり教えましょう」
さらに、親が手を離せない状況のとき、子どもはその理由を素直に伝えてしまったりするもの…。
「“お母さんはトイレに行っています”“お風呂に入っています”など、そういった伝える必要のない状況を言わないようにしつけておく必要もあるでしょう。“手が離せません”という言い方もありますが、それもちょっと印象がよくないので、“近くにおりませんので…”などと伝えさせるのがいいかと思います」
小さな子どもに限らず、中高生くらいの大きな子どもや大人でさえも、電話はとても難しいツールだと、立石さんは話します。
「ぶっきらぼうなご主人や、反抗期真っ盛りの中高生の男の子が“えっ、誰?”なんて対応をしてしまえば、普段せっかくママが周りの人と丁寧な対応を心掛けていても“マナーができていない家庭だなぁ”と一瞬にして思われてしまいます。相手に悪い印象を与えてしまうくらいならば、留守電にしてしまった方がまだましかもしれません。また、ママ自身も電話の相手が誰かわかったとたんに急に声のトーンを豹変させると、“相手によって態度を変える人”と思われてしまいます。電話は相手の顔が見えません。視覚情報がないからこそ、最初の第一声や話し方、トーンがとても大切であり、細心の注意を払うことが大事なのです。そういったことも含めて、お子さんにきちんと教育していきましょう」
おもちゃの電話を持たせることはコミュニケーションを育てる入口にすぎません。本物の電話を取らせる際は、きちんとしたしつけをしてからチャレンジさせることが大事ですね!
(構成・文/横田裕美子)