子どもの薄毛・抜け毛を改善する方法

第3回 子どもの薄毛抜け毛問題
子どもの薄毛・抜け毛について悩むママは意外といる。

では、日常生活で改善できるものと、治療が必要なものとの違いとは?

「そもそも1日に抜ける髪の毛は何本くらいだと思いますか? 50~100本抜けても普通のことで、発熱や風邪で髪を何日か洗えなかった場合などは、ドサッと抜けるのが当たり前。抜け毛があるからといって、全然気にする必要はないんです」

そう教えてくれたのは、横浜労災病院皮膚科部長の齊藤典充先生。

皮膚科専門医の受診・治療が必要な目安としては、「1日100本程度を大きく超えて大量に抜ける」「日々抜ける量が増えていく」「明らかに、急激に髪のボリュームが減り、薄くなってきている」場合などだそう。

では、日々の生活の中で改善できるポイントはどんなことだろうか。

「シャンプーの回数や選び方などは、年齢や肌質などによっても違いますし、シャンプー後に頭皮にかゆみを生じることなどがなければ、基本的にどんなものでもかまいません」

特別なケアなどは必要なく、むしろ「いじりすぎ」による頭皮の乾燥が、薄毛・抜け毛の原因になってしまっている場合があるそう。

「頻繁なパーマやヘアカラーは幼いお子さんにはほとんどないと思いますが、ドライヤーやヘアアイロンの使いすぎというケースは小学校高学年くらいでもありますよね? 頭皮がバリバリに乾いて、抜け毛の原因になってしまいます」

また、小学校高学年くらいから高校生くらいの女の子には、生理痛を緩和する薬の飲みすぎによって、薬剤性の脱毛がある場合もまれにあるとか。

ほかに、無理なダイエットや栄養不足、睡眠不足などが原因になってしまう場合もある。当たり前だが、「規則正しい生活」や「栄養バランスの良い食事」は髪にとっても大切なのだ。

髪の毛を触る子ども

●難治性の場合には、親がまずパニックにならず、どっしり構えること

ところで、2~3カ月経っても治らない、あるいは繰り返す抜け毛・薄毛になってしまった場合、注意してほしいのは「親がパニックにならないこと」と齊藤先生は話す。

「親が不安になると、子どもはもっと不安になり、暗い気持ちになってしまいます。心配なのは当然ですが、どっしり構えて、支えていってほしいと思います」

また、脱毛症がどんどん広がる、繰り返すなどの難治性になった場合には、隠そうとするよりも、まず学校の先生に話し、味方になってもらうことがおすすめだとか。

「学校の先生に話しておけば、水泳のときや、体育の着替えなどのとき、配慮してもらえることがあると思います。また、仲の良い友達、信頼できる友達をたくさん作り、薄毛や抜け毛なども込みで付き合える人間関係を築いていくよう、親と先生とで支えていきましょう」

深刻な薄毛・抜け毛の場合、皮膚科専門医での治療が必要だ。そして、同時に、本人や親だけで抱え込むのではなく、親や友達も巻き込んで、ひとりでも味方を増やしていく努力が大切なのかも。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

斎藤先生
齊藤典充
独立行政法人労働者健康安全機構/横浜労災病院皮膚科皮膚科部長/神奈川県皮膚科医会常任理事
カリフォルニア大学サンディエゴ校留学・国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長を経て、横浜労災病院皮膚科部長。血管炎、血行障害、脱毛症を専門としている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校留学・国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長を経て、横浜労災病院皮膚科部長。血管炎、血行障害、脱毛症を専門としている。