●人気の秘密はおいしそうな江戸料理
ストーリーはもちろんのこと、人気を支える秘密は劇中に登場する江戸料理の数々。第1回で登場したのは「はてなの飯」。「はてなの飯」とは、鰹をつかったご飯のこと。今では時期を問わず食卓でもなじみ深い鰹ですが、江戸時代は初鰹こそ競って食べたものの、秋の戻り鰹は“猫またぎ(魚好きの猫もまたぐほど興味がないということ)”と呼んで口にはしませんでした。
そんな戻り鰹を美味しく調理したのが「はてなの飯」。鰹という名前を付ければ皆が嫌がる。そこで、中身は何かわからない「はてなの」飯としたわけです。劇中に登場する「はてなの飯」のおいしそうなこと! 夕方18時ごろという放送時間も、最高の調味料となっています。
「はてなの飯」の作り方はNHK公式サイト『みをつくし料理帖』にも掲載されているから、再現したい人は是非チェックを!
(http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/miwotsukushi/html_miwotsukushi_recipes01.html)
●ところで江戸料理って他にはどんなレシピがあるの?
素朴ながらもおいしそう。「はてなの飯」を見ると、江戸料理にはそんな魅力がありそう。他にはどんな料理があったのでしょう? 調べてみると、『人文学オープンデータ共同利用センター』(人文学データをデジタル保存化して一般公開しているデータベース)のなかにも、そのレシピを見ることができます。
たとえば、江戸料理のレシピ本として100種類以上の卵料理が収録されている『万宝料理秘密箱 卵百珍(まんぼうりょうりひみつばこ たまごひゃっちん)』のなかには、次のようなレシピが。
『小豆餅卵』レシピ
【食材】
・卵(小さいチャボの)
・飴(しる飴。ようは水あめのこと)
・小豆(煮小豆のこと)
【作り方】
1.小さい卵をゆでたまごにして殻をむく。
2・ゆで卵を水あめのなかにくぐらせて、くるりと表面に水あめを塗る。
3.2を竹串に差して煮小豆をつける。こうすることでお餅に見える。
卵が甘い味付けになるのは、なんとも不思議な気持ちになるけれど、多くのスイーツには卵が使われているし、お餅風に仕立てた卵がどんな味になるのかは気になるところ。また、お餅を使わず糖質カットになっている点も見逃せません。
その他、江戸時代の初期の料理として有名なのが「せたやき芋」こと、うなぎもどき。
『せたやき芋』のレシピ
【食材】
・山芋…大さじ8程度
・くず粉…大さじ4
・海苔…1~2枚
・しょう油…適量
・みりん…適量
・酒…適量
【作り方】
1.山芋の皮をむいたらすり鉢でおろし、くず粉をまぶしながら混ぜ合わせる。
2.よく混ぜ合わせた1を海苔の上にウナギのかば焼き程度の厚さに乗せる。この時ウナギのかば焼き風に、真ん中には筋を入れる。
3.2をごま油でこんがりと揚げる
4.揚がった3を串に刺したらしょう油とみりん、酒を合わせたタレを塗りながらじっくりと焼く
「せたやき芋」は精進料理のひとつで、いわゆるウナギを模したもどき料理。山芋をウナギに見立てたレシピですが、ウナギ同様山芋も精のつく食材。ウナギを食べる元気がないときは、山芋でサッパリといただくのもアリ?
探してみると江戸料理は他にもたくさん。料理を通じた知的探訪。あなたも楽しんでみませんか?
(文・江戸坂ゆみ/考務店)