「例えば、パジャマの上にちょっと何か羽織らせて、連れ出してしまうことはありませんか? 大人はパジャマで外に出ることを恥ずかしいことだと知っていますが、子どもは知らないので、羽織ったものを外で脱いだり、帰ってそのまま寝たりします。すると、家の中と外の境界線がなくなってしまうのです」(水谷さん 以下同)
子どもに対して「公の場」とはどういうものか口で説明するのは難しいもの。「他人に迷惑をかけていないのに、なぜいけないの?」と疑問がわく子もいる。
「中と外の境界線がなくなると、大きくなってから、電車の中で化粧することも『誰にも迷惑かけていないのに何が悪いの?』と思うようになるかもしれません。確かに、騒音もニオイも発していいかもしれませんが、公の場である電車で化粧をするのは本来恥ずかしいことですよね」
「恥ずかしさ」は育ち方によって大きく異なり、言葉で説明するのは難しいもの。それだけに、子どもの頃にきちんと教えていく必要があるということだ。
また、服の状態もそうした「恥ずかしさ」に影響を与えるという。
「家の中で油断してしまうのは仕方ないにしても、日頃から毛玉や擦り切れを平気でそのままにしていると、どうしても外に出るときにも普段からの気のゆるみが出てしまいがち。保育園や幼稚園の参観日でもタイツのかかとの毛玉や靴下の擦り切れをそのままにしたりしていませんか? 外でもそうした状態が当たり前になってしまうと、子どもはそういった状態でもいいんだと思ってしまいます。『アイロンをかける』『毛玉をとる』など、ちょっとした手入れや、丁寧な着方をするだけで、子どもの家の外に対する意識が変わります」
●子に悪影響を与えるママの服の色は、黒やグレーが多い!?
ところで、子どもがママに積極的に話すか話さないかも、ママの服装による影響があるのだとか。
「『子どもが保育園や幼稚園のことを話してくれない』と悩むママは多くいます。そうした悩みを抱えるママたちに共通するのは、みなさん黒やグレーなどの服を着ていることなのです」
黒やグレーは落ち着いた印象を与えるのに、どうしてそれが親子の会話の有無に影響するの?
「特に黒は、人に威圧感を与える色です。子どもからすれば、威圧感や冷たさのある黒やグレーだと話しかけづらい。そのため、できればママの顔が明るく見える暖色系を着ると、話しかけやすい印象になります」
ちなみに、色彩学の専門家・野村順一氏によると、赤ちゃんの好きな色は1位が黄色、2位が白、3位がピンクだとか。逆に、嫌いなのは青や紫などの寒色系で、もっとも嫌いなのが黒だそう。
自分の好きな服で過ごすのもママにとっての楽しみのひとつ。自分の「好き」は最優先しつつも、ときには自分の服装が子に与える影響について考えてみたり、子どもが好む色を部分的に取り入れてみたりするのも大切なことなのかも?
(田幸和歌子+ノオト)