「親御さんとしては、わが子が“あんな奴どっかいっちゃえばいい!”なんて言っていたら、“そんなこと言っちゃダメでしょ!”と、いいたくなりますよね。確かに、言っていい言葉ではありませんから、親としてきちんと教えたいと思うのは当然のことです。ただ、今それを言って聞くでしょうか? むしろ今の子どもの状況はそういった正論をそのまま素直に受け入れることができない状況。つまり、それほど悔しい気持ちなのです」(親野先生、以下同)
このときに、一方的に叱ってしまうと、子どもは心を閉ざして何も言わなくなってしまうので注意が必要だという。
「お母さんは自分の気持ちをわかってくれない。どうせ言っても仕方がないから言うのをやめよう…と、肝心なことを話さなくなってしまう可能性もあるので、決して叱ってはいけません」
まず、その気持ちを受け止めてやることが大切だという。
「お子さんは、そんな言葉を言ってはいけないことくらいわかっていますし、本気で“いなくなっちゃえばいい”なんて思っていません。そう言いたいくらい悔しかったのです。だから、まずはその気持ちに共感することが大切なのです。『そんなこと言われたんだ。それはイヤだったね』『悔しかったね』と」
悔しい思いに十分に共感してもらえれば、それだけで子どもの気持ちはかなり落ちつくという。ただし、決して“そうだよね、そんな子いなくなっちゃえばいいよね。みんなで無視しちゃえば”などと、余分なことを言い過ぎてはいけないという。それは“安易な同調”だからだ。
「共感と安易な同調は違います。ここはしっかり区別しなければならないポイントです。このような安易な同調をされてしまうと、子どもは気持ちが落ち着くどころか、火に油を注がれたように余計に激しくなってしまう可能性があります」
例えば、以下のようなケースのとき、共感と安易な同調の違いとは?
【例】
7歳から遊べます。という遊具があり、子どもがやりたがった場合。
「この場合、『なにわがまま言ってるの! ダメなものはダメ』は、正論の押し付けで共感はゼロですね。『確かにやりたいよね。おもしろそうだもん。でも、7歳からだって。7歳になったらすぐやろうね』これは共感です。そして、『確かにやりたいよね。じゃあやっちゃおうか』と言ってやらせてしまったら、これは安易な同調です。これでは、平気でルールを破っていいと教えているのと同じです。共感しつつも、やらせてはいけません」
このように、親としての正しい対応をする一方で、子どもの悩みが続くようであれば、担任に相談することが必要だという。
「ほかのクラスメイトや保護者からも情報を集めるなどして、同じ悩みを抱えている子がいるようであれば、保護者の学級役員の方から担任に相談してもらうのもいいでしょう。特に、問題行動が危険なことであったりする場合は、ケガなどが発生してからでは遅いので、早めの対応が必要です。先生を2人体制にしてもらう、保護者が交代で見守りをするなど、対策を講じなければなりません」
また、問題行動を起こす子についても、さまざまな原因が考えられるため直接解決しようとせず、担任の先生に対応をお願いするべきだという。それでも適切な対応してもらえない場合は校長に。校長に言ってもダメなら教育委員会、ということになるという。
「問題行動する子にもいろいろな背景があります。家庭環境に深刻な問題を抱えていることや、発達障害の子の場合もあります。なので、そこからは担任に対応をお願いしてみましょう。親としては、しっかり“共感”することでお子さんの不安や不満を癒してやること。そして、“安易な同調”をしてしまわないように、そこをしっかり区別して対応してくださいね!」
親は子どもが自分の気持ちを素直に吐露できる存在であり、それを受け止める存在であること。あとの対応は、学校側に相談し、対応をお願いしましょう!
(構成・文/横田裕美子)