待機児童問題解消、女性の登用の理由

待機児童問題解消、女性の登用の理由

第4回 期待大!さらなる女性の社会進出
政府の成長戦略では、女性の活躍促進策として、「待機児童の解消」、「女性役員・管理職の増加」、「職場復帰・再就職支援」、「子育て後の企業支援」が掲げられています。

特に、待機児童問題は、緊急に解決すべき課題として、「待機児童解消加速化プラン」が打ち出されました。

加速化プランでは、昨年と今年の2年間で、保育所の定員を全国で20万人分増やし、その後の3年間で、さらに20万人分増やしていきます。そして、保育ニーズのピークと予測されている2017年度末までに、待機児童ゼロとなる予定です (※1)。
そのために国は、保育所の整備や保育士の確保といった面で、地方自治体を支援していきます。

これまでに全国351の地方自治体が支援を受けることになりましたが、この中には、状況の深刻な東京23区や政令指定都市などが含まれています(※2) 。2013年4月の待機児童数は全国で2万2741人ですが、このうち9割の待機児童を抱える231の自治体が参加を表明しました (※3)。

待機児童問題は、今後、大きく前進するでしょう。

待機児童問題解消、女性の登用の理由

また、保育所不足と並んで働く母を悩ませているのが、学童保育などの社会的な問題「小1の壁」です。

これまで小学生の放課後対策には、主に共働き家庭の子どもが対象の「放課後児童クラブ」(厚生労働省)と、すべての子どもが対象の「放課後子ども教室」(文部科学省)があり、別々に運営されていました。

今後は、効果的な運営を目指し、両者が連携していきます。2019年末までに約1万カ所以上を一体型とし、「放課後児童クラブ」の定員も30万人分増やしていきます。閉所時間の延長も検討され、子どもの安全・安心を確保できる環境が整っていきます。

さて、女性登用については、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に、との目標がありますが、2013年の上場企業の女性管理職比率は、わずか7.5%です。政府は、目標にはほど遠い現状を踏まえ、有価証券報告書への女性役員比率の記載を義務づけるとともに、「女性の活躍『見える化』サイト」を作り、上場企業の女性登用状況を公表するようにしました。
また、省庁で女性登用を進めるなど、国から率先して取り組む姿勢も見せています。

このほか、仕事と子育ての両立支援として、子どもが3歳になるまでは育児休業や短時間勤務を選択しやすいような職場環境の整備が進められています。積極的に取り組む企業などには、「両立支援等助成金」が給付されます。

また、男性の家事・育児参加を促進するために、厚生労働省では「イクメン・プロジェクト」として、情報発信をはじめとした啓発活動が進められています。例えば、今年は「イクボスアワード2014」や「イクメンスピーチ甲子園2014」といったイベントが開催されています。イクボスとは、子育て中の部下を応援しつつ、自らも仕事と生活を充実させている上司のことだそうです。

「いろいろ進められているようだけど、まだ実感がわかない…」という方も、多いかもしれません。
しかし、日本の女性の活躍促進ははじまったばかり。今はまだ過渡期です。少しでも多くの女性が活躍できるように、現在進められている政策、そして今後の政策に期待したいですね。

【出典】 ※1 厚生労働省「待機児童解消加速化プランの支援パッケージの概要について」(2013/6/6) ※2 厚生労働省「「待機児童解消加速化プラン」第一次集計の結果を公表」(2013/8/8) ※3 厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ(平成 25 年4月1日)」(2013/9/12)
久我尚子
久我尚子
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員
若者や女性をはじめとした生活者の暮らしに関わる調査・研究に従事。1児の母。
若者や女性をはじめとした生活者の暮らしに関わる調査・研究に従事。1児の母。