読書をすれば頭がよくなる?!

第3回 年齢別脳の育て方
偏差値70超えの難関の名門中学に合格したとされる芦田愛菜。彼女は、楽屋でも本をいつも読んでいたという。本をたくさん読むと、頭が良くなるんだろうか? そんな単純な疑問がふつふつと湧いてくる。そこで「子どもを天才脳にする秘密は、早寝、早起き、朝ごはん、読書!」を推奨している脳科学コメンテイターの黒川伊保子氏を取材した。

●絵本の読み聞かせは才能を伸ばす

「男女共に、絵本の読み聞かせは、脳に効きます」

そう断言する黒川氏。なぜだろう?

「赤ちゃん期の絵本の読み聞かせは、言語力を上げます。この時期は、擬態語、擬音語など発音して楽しい単純な言葉が使われている絵本が理想的です。親子で発音しあって楽しんでみてください。そして赤ちゃんが「あー」とか「うー」と言い出したら、母親が「あー、よねぇ」などと答えてコミュニケーションをはかります。するとこれが母国語獲得のスタートになります。ことばの発達は、人類の脳の基本。理系の力も、芸術のセンスも、母語の能力の高さに依存すると言われています」(黒川氏 以下同)

絵本の読み聞かせは、言語脳も発達して将来の才能育成といいこと尽くしだそうだ。

読書をすれば頭が良くなる?!

●海馬を刺激する読書

3歳以降も、脳のために読書は非常に有効だという。これはなぜだろうか?

「読書は、海馬に知識の“素”を提供します。海馬は、今日あった出来事を脳の中で再生して、明日への知識を導き出す、脳の知識工場です。私たちは起きている間の体験や、学んだことは、その場では単なる記憶でしかありません。脳は寝ている間に、知識工場・海馬が記憶を繰り返し再生して、後に応用できる知識に替えているのです。この時、ちょっと想像を超える記憶の組み替えを試して、発想力に繋げていますが、この“ユニークな記憶”の素は、ごく普通の日常を過ごしているだけじゃ、なかなか数を増やせない。これを補足してくれるのが読書なのです」

しかし、なかなか本を読んでくれない子どももいるが…?

「何も面倒がる子どもに読書を強要することはありません。私たちの脳は、目の前の誰かの発音をあたかも自分の発音のように感じるという能力を持っているので、母親が読み聞かせしてあげればいいのです。3歳から7歳までは添い寝をして、絵本を読んだり、おとぎ話を語り聞かせてあげて欲しいですね」

●年齢別、本の選び方とは?

具体的にどんな本を読んだらいいのだろう?

「3歳から7歳までは、自分と同じ年頃の登場人物や動物など、自己投影できる題材を、母親の読み聞かせや、本人の音読を組みあわせてあげてください。8歳から12歳までは、ファンタジーや科学本、海外文学、歴史文学など、日常とは違う世界観を味わうと効果的です。10歳の後半ぐらいからは、ぜひ大作に挑戦してください」

子どもに勉強をやらせるのは無理でも、読み聞かせなら出来るという母親もいるだろう。ぜひ今日から海馬を刺激してみてはいかがだろうか?
(取材・文/谷亜ヒロコ)

お話をうかがった人

黒川伊保子
黒川伊保子
脳科学コメンテイター
㈱感性リサーチ代表取締役、人工知能研究者/脳科学コメンテイター。奈良女子大学理学部物理学科卒。人工知能エンジニアを経て、感性の研究者に。テレビや雑誌にもたびたび登場。著書に「恋愛脳」「夫婦脳」(新潮文庫)、「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)、「英雄の書」「女は覚悟を決めなさい」(ポプラ社)など。
㈱感性リサーチ代表取締役、人工知能研究者/脳科学コメンテイター。奈良女子大学理学部物理学科卒。人工知能エンジニアを経て、感性の研究者に。テレビや雑誌にもたびたび登場。著書に「恋愛脳」「夫婦脳」(新潮文庫)、「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)、「英雄の書」「女は覚悟を決めなさい」(ポプラ社)など。