●“自分の子は特別”はどの親も思っていることである
まず、担任教師との良い関係を目指すうえで、大前提として親が理解しておくべきは、小学校という集団生活の場において、“我が子は特別”との考えは通用しないということ。
「学校や担任がお子さんを大事に思っていることに変わりはありません。ただし、親御さんにとってお子さんがプリンス・プリンセスだったとしても、学校はそのプリンス・プリンセスの集まりです。大事ではありますが、特別ではありません。よく劇の主役や運動会のリレー選抜で、こんなに練習したのになんで選ばれないのかと、抗議される親御さんもいらっしゃると聞きます。でも、選ばれるお子さんはみんなすごく練習しているんです」(沼田先生、以下同)
どの親も子どもは特別です。しかし、担任にも同じように特別な存在として扱ってほしいという期待を押し付けてしまっては、双方ともにストレスを感じてしまいます。
「ただ、ほとんどの親御さんは、“我が子が特別扱いされなかったこと”ではなく、たとえば何かの係りに選ばれるにあたっても、どんなふうに決めているのか分からないので、疑問が積み重なってしまうのかなと思います。もちろん、学年通信などでお知らせしているとは思いますが、よく分からないことは担任の先生に聞いてみるといいと思います」
●担任教師と良好な関係を築くために必要な考え方とは?
ただし、「どうやって伝えるか」を考えることも大事だと沼田先生。
「たとえば連絡帳で、『子どもが劇で主役に選ばれなくて落ち込んでいるんですが、どうやって選ばれたのか教えてもらえますか?』とか、『(母親として)こんなことを不安に思っているんですけど、先生も気にかけてもらっていいですか?』と書いて、まずは担任の考えを聞くといいと思います。一方、『なんで、選ばれないのか理解できません』『なんで気づいてくれないんですか?』と言ってしまうと、担任教師も困ってしまいます。なぜなら、選び方や学年の運営などは、学年の先生方と話し合って進めていますので、一人で判断できることには限りがあるのです」
また、担任を“理解”“共感”することも、良好な関係を築くうえでは、大切なポイントだといいます。
「担任の先生をどこまで信頼できるかも大事だと思います。たとえば、多くの親御さんは、子どもを比較するときに、クラスを“オールスター”で捉えがちです。頭がいいのはAくん、スポーツができるのはBくん、子どもだってそこと比較されると苦しいですよね? 先生に対してもそうかもしれません。あの先生は教え方が上手、この先生は生徒から好かれるとか、オールスターとして考えると、不満ばかりになってしまうはず。とくに、先生は“パーフェクトヒューマンじゃないとダメだ”と思って頑張ろうとしている人が多いので、やみくもに比較せずに、ある程度今の担任を信じて、任せることも大事なのではないでしょうか」
確かに、生徒の親から頭ごなしに否定されたり、他の担任教師と比べられたりするのは辛いものです。教師とはいえ、同じ人間。理解し共感しながらも、言うべきときは言うことで、良好な関係が築けるのかもしれません。
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)