過保護な親に知ってほしい言葉「魚を与えるな 釣り方を教えよ」

第3回 過保護・過干渉が過ぎる親“ヘリコプターペアレント”
わが子が可愛いあまりに、過保護・過干渉が過ぎてしまい、まるでへリコプターのようにわが子の頭上を旋回し、何かあればパタパタパタと急降下して助けに行くヘリコプターペアレント。
子どもが困難に立ち向かおうとしているときに、“邪魔だから”と除雪車のように雪をかきわけ子どもの通る道をならしていく“スノープラウペアレント”…。そういった親が増えているといいます。どちらの親にも共通する思いは“子どもため”。しかし、本当に子どものためになる子育てとはどういうものなのでしょうか? 『1人でできるようになる テキトー母さん流子育てのコツ』の著者・立石美津子さんにお話を伺いました。

●子どものためになる子育て「魚を与えるな 釣り方を教えよ!」

「子どもはお母さんのお腹のなかにいるときから、すでに違う人間です。つまり、子育てというのは、なんでも親がやってやることではありません。わが子がこれから一人で生きていけるように成長させ、その術を身に付けさせてやることなのです。子どもため…と思ってがんばってやってきたことが、結果的には将来さまざまな困難にぶち当たり、それを乗り越えられない原因になってしまうとしたら、なんとも悲しいですね。だからこそ、小さい頃からの親がどのように対応するかがとても大切なのです」(立石さん 以下同)


では、子どものためになる子育てとは?

「昔から言われている言葉に『子どもには魚を与えるな 釣り方を教えよ』という言葉があります。意味は、“お腹を空かせている人に魚を与えると、その場の空腹は満たすことができる。しかし、この人に魚の釣り方を教えなければ、お腹が空くたびに誰かから魚をもらえないと生きていけないことになる。目先のことを満足させることは相手のためにならない”ということです。まさに子どものためになる子育てとは、“釣り方”を教えることなのです」

子どもに魚を与えるな 釣り方を教えよ

●過保護・過干渉は決してわが子のためにならない!

なんでもかんでもあれこれ世話を焼きすぎてしまえば、自分ひとりでは何もできない子に育ってしまう危険がある。

「例えば、子どもから『東京ディズニーランドはどこにあるの?』と質問されたら、親としてどんな対応をしますか? 魚を与える親は『千葉県よ』と答えます。その後も、聞かれたことの答えを毎回教えてしまうと、いつまでも親が教えなければなりません。しかし、釣り方を教える親は、『じゃあ、一緒に調べてみようね』と言って、地図やネットなどで調べる方法を教えます。そうすることで、子どもは“調べる”という術を身に付けることができるのです。地図の見方も学びます。さらに調べていくうちに、『東京都はこの辺で、埼玉県はこの辺なんだね』など、どんどん知識や興味も広がっていきます。そして、次回に何か疑問を持ったときに自分で調べることにつながっていくのです」

一見、魚を与えてしまう方がその場は簡単にしのげて楽かもしれない。しかし、ここで釣り方を教えることこそが、わが子のためになるのです。“手出しし過ぎてあれこれいじくり回さないように”と立石さんは話します。

「親がすぐに答えを教えたり、困難を解決してやるのではなく、答えの導き方を教え、考えさせ、解決する術を身に付けさせていく。そうすれば、あとはその子自身がそれを駆使して力強く生きていくのです。過保護・過干渉は決してわが子のためにならないということを肝に銘じて、ぜひ日々の生活のなかで“魚”を与えるのではなく、“釣り方”を教えてやりましょう!」

ぜひ、今日からお子さんに実践してみてください!
(構成・文/横田裕美子)



お話しを伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。