●どんな子どもでも集中力はある! 集中する内容との相性の問題が大きい
「“時間も忘れるほど集中して、気が付いたら2時間も経っていた”そんな集中状態を、心理学的にはフローと言い、さらに極限の集中状態に達すると、“ゾーンに入る”なんて言います。よく野球選手なんかでも、“ボールが止まって見える”なんて言う人もいたり、勉強だったら、“読んだものがどんどん頭に入っていく”など。簡単に言えば“集中力のある人”というのは、こういう状態に入るのが得意だということになるわけです」(親野先生 以下同)
しかし、“集中力”というのは、決して限られた人の能力ではないという。
「実は、基本的にどんなお子さんでも集中力はあるんです。
つまり、それは集中する事の“内容との相性”の問題だということ。例えば、親から見ると、“この子、ホントに集中力ないなぁ~”と思う子でも、テレビゲームやブロック遊び、お絵描き…など、その子が大好きなことはどうですか? 親が“そろそろやめなさい!”と言ってもやめないくらい集中して没頭しますよね? つまり、親御さんが“うちの子、集中力がない”と言うのは、勉強や片付けなど、親がやってほしいことに集中できないということであって、決して集中力がない子と断言はできないのです」
さらに、そのように“わが子は集中力がない”と思い込むことは、思わぬ弊害があると、親野先生は話します。
「親が“集中力のない子”と決めつけてしまうと、親が思っているようにだんだんなっていく可能性があるんです。そういう現象を、“ピグマリオン効果”と言います。逆に“この子は集中力があるなぁ”と思っていると、だんだんそういう面が出てくる。そうすると、親御さんも『集中力あるね!』”と褒めたりするので、子どもも“自分は集中力があるんだ”と思うようになり、自信につながるのです」
●子どもが大好きなことに集中しているときが、わが子の集中力を育む絶好のチャンス!!
つまり、親自身が“この子は集中力がある”と思い込むこと、そして、それを上手に伝えることが大事で、そのための絶好の機会が、子どもが大好きなことに集中しているときだという。
「つい、ゲームに夢中になっているお子さんに『いつまでゲームやってるの!』と、叱ったりしてしまいがちですね。しかし、この時こそが実は絶好のチャンスです。ゲーム遊びを終えた時に、『あなた、集中してたね~。集中力あるね~』って褒めてあげるんです。そうすると、“僕は(私)は、集中力があるんだ”と思えるようになる。そうすると、例えば勉強をやるときも“自分は集中力があるハズだ”と思えるようになるのです。この思い込みがとても大事なんです。逆に親が『集中力ないね~、ダメだね~』などと言い続ければ、“どうせ集中力ないもん”と、余計に集中できない状態に追い込んでしまいます。このように、親の対応がとても重要なのです」
さらに、集中しているわが子を褒めるとき、気を付けてほしいことがあるという。
「好きなことに集中していたお子さんをせっかく褒めたあとに、『この集中力があったら勉強に使えるのにね~』というような嫌み、余計な一言を言わないということ。それは、“好きなことには集中できるけど、勉強では集中できない子”と言ってるのと同じ。これでは、せっかく褒めた効果が台無しになってしまうので気を付けてくださいね!」
ぜひ、“ピグマリオン効果”をうまく使って、お子さんが“自分は集中力がある!”と自信を持てるようにうまく導いてあげましょう!
(構成・文/横田裕美子)
『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』