●担任への不満は「吐き出せばいい」ものではない
そもそも、担任の何に不満を感じているのかを考えた方がいいと沼田先生。
「“担任の態度に不満がある”というのは、考え方が合わなかったり,学校でどんな活動をしているのかよくわからなかったりするからではないでしょうか。しかし、1年間担任の先生とはいっしょに子供を育てていく仲間なわけですから、まずは先生を信頼することからはじめた方がいいと思います。ただ、親御さんから『もっとこうしてほしい』という意見をいただいても、担任は学年・学校単位で動いているので、極端な話、掲示物の位置や、貼り方まで同じにしないといけないんです。そのため、担任に改善を要求しても、運営方針を大きく変えるのは難しいでしょう」(沼田先生、以下同)
他のクラスの担任と比較して、良い悪いを語るのは簡単です。しかし、まずはモノ申す前に、担任教師に伝えて改善される可能性があるもの、改善が難しいものをよくよく考える必要がありそうです。ちなみに、担任の対応が気に入らなかったとしても、こんな言い方はやめた方が良さそう…。
「たとえば、子ども同士の喧嘩があったときに、『こんなことが起きたのは先生の責任では?』や『うちの子の話を聞いてくれない』と責めてしまう親御さんもいるそうです。。でも、先生にだって出来る限りの対応はしているはずだし、それでも気付けなかったこともある。まずはそれを理解していただくことも必要です。それを、『なんで気づけなかったの?』と頭ごなしに言ってしまうと、先生も委縮してしまいますよね。そうではなく、先生に情報を伝えて一緒に相談しながら進めましょうなど、仲良くやっていきたいと思っているということを伝えることが大事だと思います」
●“文句を言う”ではなく“一緒に解決したい”のスタンスで
また、モノ申すにしても、最低限のマナーは守ったほうがいいと沼田さん。日々多忙を極める小学校教師のことを理解してあげることも大切かもしれません。
「基本的に、小学校の教師はだいたい8時から17時までが勤務時間ですが、昼休みといっても給食指導中なので、休憩ではないんです。会議も多いので、親御さんへの対応が遅れてしまうこともあります。そういう状況を踏まえていただき、思うところがあれば、“怒り”から入るのではなく、“解決”のためにどうしたらいいか一緒に考えたいというスタンスで、相談する時間帯や方法を考えていただけるといいかなと思います」
“文句を言ってやろう”ではなくて、今抱えている不満をどうにかして解決したいと伝える姿勢が大事になるようです。また、モノ申したい“中身”について、客観的に考えることも大事だとか。
「たとえば、ご家庭ごとに“ファミリールール”があると思います。お風呂の入り方や洗濯物の出し方、食事の時のマナーまでさまざまです。それを『うちはこうしているから学校でもこうしてほしい』というのは無理があります。これは一例ですが、集団では実現が難しい事はあることをご理解いただけるといいと思います。ただ、いずれ社会に出る子どものことを考え、様々なマナーになれていくことが大切ではないでしょうか」
言わずにモヤモヤしているなら言ってしまった方が良い、それも正しい選択かもしれません。担任教師に情報を伝え、一緒に解決していく姿勢が、お互いの理解を深め子供を安心して育てていける環境づくりになるのではないでしょうか。
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)