●尾崎さん流!家事、育児、仕事をムダなく両立する方法
3人の育て盛りの子どもたちを抱え、建設コンサルタントで働く尾崎さんが、まずは家事に対する3つの精神論を語る。
1.働きすぎない
「自分で“時間がないな~”と自覚する人は、働きすぎかもしれません。どんな人でも、1日は24時間しかありませんし、いくら時短をしたところで限界はあります。まずは、自分の働き方を見つめ直してみましょう。今の働き方や暮らし方で満足できているか、不安を先取りして今の暮らしが空洞化していないか。例えば、子どもが小さくて一番手がかかる時に、無理して1年前倒しで働くよりも、子どもが手を離れた中学生以降に1年長く働いた方がいいという考え方もあります。その上で、どうしても仕事に時間をとられてしまうなら…思い切って家事をアウトソーシングしたり、職場の近くに引っ越すことを検討してみてはいかがでしょうか」
2.家事のボーダーラインを決めてそれ以上はできなくても“よし”とする
「やりたいこと(憧れ)とやらなければならないこと(必要)を見極めて、まずは必要なことから取りかかりましょう。憧ればかりが先立っても、必要なことが終わっていなければ、いつまでも家事に追われている感覚から逃れられないからです」
3.家事を仕事だと思うとうまくいかない
「私も、家事に完璧を求める、報酬に換算するなどしているうちは、日常が空回りするばかりでした。特に、夫との家事分担では、“私だって仕事をしているのに…”と相手に不満が募ることも。幼い子どもがいる暮らしは、“予定通りにいかないのが当たり前”だと割り切りましょう。一方、家事の時間は、自分の手際と技術次第で、時間のコントロールが容易です。家事は効率を上げて手際よく終わらせてしまい、コントロールが難しい子どもとの時間をゆとりをもって取るようにすれば、暮らしの満足度を上げることができるはずです」
●どうしてもやる気が起きない時は…
さらに、家事のパフォーマンスを上げる方法を聞いた。
1.家事にメリハリをつける
「忙しい平日の夕飯は、皿数も少なく簡単でいいのです。時間がある週末は、楽しみながら、食べたいものを少しだけ手間をかけて作ります。こうすることで、お休みの日が家族にとってさらに特別なものに生まれ変わります。イベントやお出かけがなくても、きっと満足感が高まるのではないでしょうか」
2.あきらめずに“小分け”して作業する
「時間がかかる作業を終わらせるには、まとまった時間が必要です。とはいえ、子どもが小さいうちは、ママはなかなか、まとまった時間が取れません。ですから、何事も“今は無理”と先延ばししないために、やるべきことを手順ごとに細切れにして、小さいことをコツコツ終わらせていくと、いつのまにかすべて終わっていたりします」
3.ついでにする
「例えば、手が濡れた時はすぐに拭かず、手が濡れる作業をついでにしてしまいましょう。夫や子どもを見送る時は、玄関に行ったついでに靴を磨き、お風呂に入った時は、毎日少しずつ場所をローテーションして洗ってしまいます。後回しにすると厄介になるので、何かのついでにやることで、取りかかる家事のハードルが低くなります」
4.習慣化する
「子どもの勉強と同じで、苦手だけどやらなければならないことは、くり返しやることでいつの間にかできるようになります。食べた後の歯磨きのように、しないと気持ち悪いぐらいルーティン化しましょう。頭ではなく、流れに任せて体が勝手に動くようになれば、家事も苦ではなくなります」
最後に、家事をする気が起きない時はどうすればよいのか…気持ちの切り替え方をナビ。
「まずは“こうしなきゃ!”ではなく、“こうありたい”と願う気持ちを大切にしましょう。そして頭で、なぜそれをするのか考えてみるといいかもしれません。家事は暮らしそのものであり、誰かに強要された誰かの生活ではなく、愛する家族、そして自分の暮らしを向上させるためにあります。そしてあらかじめ、やる時間を決めておくことをおすすめします。“あと5分で洗い物を終わらせる”など、時間制限を設けると、家事の効率はグンと上がります。例えば、リビングの掃除機がけに5分など、普段自分が“何をするのにどれぐらいかかっているのか”を把握して、それ以上の時間はかけないようにする。“今日は一切やらない”という選択肢も、もちろんありです」
自分が本当につらい時に作ったご飯は、決しておいしくないと語る尾崎さん。
「しんどいと思いながら、心に余裕がないなかで作った料理はおいしくないと思いませんか? それならば、少し時間がある時に、あらかじめ常備菜などを作り置きしておき、本当に料理ができない時は、それを活用して用意するだけでいいと思います。温めるだけですぐに食べられる食事を、いつでも1、2食分冷凍庫に入れておくと安心ですよね」
「“すてきな完璧なできるママ”じゃなくていい」と語る。
「家事や育児で誰かのマネをする必要はまったくありません。子どももママも、生まれ持った個性は違うのですから。自分は同じようにしているつもりでも、同じ結果になるとは限りません。最良の育児じゃなく、ほどほどぐらいを目指すなら、決して難しくない。子どもたちは”今、ここ”で生きています。どうか、将来の心配を先取りしすぎて今の楽しみを見落とさないでください。子どもたちと時間や思い出を共有してほしいと思います」
尾崎さんの言葉やリアルなアドバイスに、励まされるママはきっと多いはずだ!
(取材・文/蓮池由美子)