●パラレル家事をこなし、定年後も家族に頼られる存在に…
パラレル家事のメリットとは?
「まず、パパとママが共同で家事や育児を行うことで、ママも仕事と家庭の両立に不安になることなく外で働くことができる…。笑顔で生き生き生活する両親の姿を見せることで、子どもは大人になることへの夢をふくらませていけるのだと私は考えます。パパが家事をシェアすることで、ママは家事や育児だけでなく、社会に出たり、地域の活動に参加したりを家族の協力のもと楽しむことができますよね。パパはパパで、仕事だけじゃなく、家のなかにも自分の生きがいを見つけ、家族との絆をさらに深めることができます。定年後も、時間を持て余すことがなく、家族に頼られる大事な存在になるでしょう」(三木氏 以下同)
パパが家事を担当することで、社会的にもこんなメリットが…。
「パパがパラレル家事を経験することで、女性社員の気持ちや事情を理解しやすくなりますし、効率的に仕事に取り組むためのモチベーションが高まるパパもいます。“パパが家事をシェアすること=面倒くさい手間が増えること”と考えるのはもってのほか。家事に参加することで深い信頼を家族で築きあげることができますし、大きな転機があるとき、協力し合うことが必要なとき、自分自身が大きく飛躍したいときに、家族がより一層力になってくれると考えるべきです。パパが家事を手伝うことで“逆に自由な時間を作ることができる”ということも言えます」
もちろんママにとってのメリットも大きい!
「まず、パパの家事の役割が習慣化すると、大きなサポートになりますよね。ママのつらさのひとつに、家事の負担と不満があります。負担は“料理や掃除が面倒で大変だ”というものですが、これはある意味、家事代行や家電で時短できます。ですが不満は、不平等という概念から生まれるので、これは家事代行や家電では解決されません。“なぜ自分ばかりこれをやらなきゃいけないの?”という不満は、夫婦や家族でしか軽減できないものなのです。家族のちょっとした思いやりが、ママの不満を軽減させるので、忙しいパパ、家事が苦手なパパも、小さいところから始めてみてはいかがでしょうか」
●パラレル家事を見せておけば、子どもも家事に抵抗がなくなる
さらに子どもたちにも、こんな素敵な影響が…。
「家族の形はどうしても自分の家がロールモデルとなりますよね。両親の家事のあり方も見本になります。夫婦揃って家事をこなしている姿を見れば、子どもたちも、自然とその間に“何かやろう!”という気になります。この瞬間、どちらかがダラーッとして過ごしていたら、子どもは楽な方向に流されるので、同じようにダラーッとするでしょう。“家事って誰の仕事?”と聞いたとき、“ママの仕事”と答えるお子様は、その時点で家事が自分のことではなくなっていると言えます」
将来、子どもが信頼できる素敵な家庭を築き上げるためにも、家事への自覚を持たせることはとても大切だという。
「小さいうちからパパとママが力を合わせて家事をこなしている姿を見ていれば、お子様は将来、“家事は夫婦ともにやるのが当たり前”という価値観になります。自分にそういう経験がないと、“うちはこうじゃなかった。本当はすべて妻にやってほしいのに…“と不満を抱き、大人になってから家事に挑戦すること自体、ハードルが高くなってしまいますよね。夫婦でパラレル家事に取り組む姿を見せておけば、将来わが子が家事分担に対する悩みや不満を抱えなくてすむと言えます。これは、愛するお子様方が幸せな家庭を築くためにも必要なことです」
もうひとつ、パパとママに覚えておいてほしいことがあると語る。
「ぜひ、家事代行など、必要に応じて他のサービスをうまく活用してほしいなと思います。お子様方が結婚して家庭を築く頃には、女性の社会進出、家事シェアは今よりもっと当たり前になります。家事代行=贅沢という時代は過ぎ去り、第3者が家のなかに入ることも当たり前な時代になるので、今からパパとママが抵抗を持たず、“困ったときに人の手を借りることは悪いことではない”という姿勢を見せていくことが必要です。そうすることで大人になったとき、他人の手を借りることに抵抗がなくなりますし、家事にも多様性があるということを理解できるようになると思います」
最後に、「“ただいま!”と帰りたくなる居心地のいい家庭は、家族が協力し合って創られる」と提唱する三木氏。子どもの幸せを考えるのであれば、まずはパパとママが仲良く協力し合う姿を見せ、家事の多様性を受け入れるロールモデルとなることが大切だ!
(取材・文/蓮池由美子)
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