要注意!おたふくには偽物があった?!

第1回 おたふく風邪の予防、症状、対処法
おたふく風邪になり難聴になった人が、去年までの2年間で少なくとも314人に上ったことを日本耳鼻咽喉科学会が調査・発表した。おたふく風邪と難聴が今まで結びついてなかった人も少なくないだろう。おたふく風邪とは、そもそもどんな病気だろう? 知っているようで知らないおたふく風邪について、こども元気!内科クリニックの手塚勝也先生に聞いた。

● おたふく風邪のニセモノ?!

今、おたふく風邪は流行っているんでしょうか?

「おたふく風邪は、一年中一定数出ている病気です。おたふく風邪は、正式名を“流行性耳下腺炎“といいますが、感染すると“お多福さん“のように腫れるのでそのようにいわれています。しかし実際に腫れるのは頬っぺたではなく、耳の周りにある耳下腺という場所で、粘土を付けたようにふっくらと腫れてきます。また顎の下も腫れてきて、『ぽたんぽたん』と柔らかな感じになり『顔の輪郭が変わったね』と言われるくらいに変化します。原因は“ムンプスウィルス“というウィルスの感染。急にポツンとかかる病気ではなく、たいていはクラスで流行しているなどの周りの状況に関わってきます。もし学校で流行している時に、耳の下が腫れてきたら注意して観察するべきでしょう」(手塚氏 以下同)

お多福が語源といっても、左右両方ではなく、片方だけしか腫れない時もあるそうだ。しかし間違いやすい病気もあるという。これはどんな病気だろうか?

「よく『何度もおたふく風邪になった』という人がいますが、これはおたふく風邪と同じところが腫れる“反復性耳下腺炎“という病気です。“耳下腺“というのは、唾液が通るところなんですが、ここに菌やウィルスが入って逆流して腫れます。こちらの病気の腫れはすぐに引いてきます。はじめはおたふく風邪と区別がつきません」

おたふく風邪の症状

● おたふく風邪で学校を休む期間

おたふく風邪にそんなに似ている病気があるならば、検査キットなどはあるんだろうか?

「おたふく風邪に検査キットはありません。どうしても白か黒かつけたいという人には、血液検査を保険適用外でやることになりますが、そこまでするか…という話です。何しろおたふく風邪には、特に治療がありません。耳の下が腫れてご飯を食べる時にすごく痛いので、痛み止めを出すくらいです」

家でも痛がる時には、噛まずに飲み込めるものを与えるのがいいだろう。では、おたふく風邪はどれくらい学校を休みものだろうか?

「もしかかってしまった場合には学校保健安全法に記載されている感染症で、しばらくは家で休むことになります。昔は腫れが引くまで自宅で療養でしたが、今は耳下腺や顎下腺などの腫れから5日以上経って全身の状態が良くなれば、病院などで許可証を書いてもらい登園・登校ができます。5日くらい経てば、腫れが多少あったとしても他人への感染力が無くなるためです。よく予防接種するより、うつされた方がいいのでは?と聞きますが、これは大きな間違い。出来る限りワクチン接種をしてかからないようにするか、かかっても軽くすむようにするのがベストな選択です」

おたふく風邪が本当に怖いのは、難聴などの合併症だ。おたふく風邪自体は、潜伏期間2〜3週間、腫れは1〜3日でピークになり、1週間ほどで自然に治る。しかし難聴になった場合、片耳性が多いとはいえ、一生聴力は戻らない。おたふく風邪の予防接種をまだ受けていない人はぜひ受けておこう。
(取材・文/谷亜ヒロコ)

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お話をうかがった人

手塚勝也
手塚勝也
こども元気!内科クリニック
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。