子どもの歯並びが気になりつつも治療が必要か・必要ないのかお悩みの保護者の方も多いでしょう。そこで今回は、小児矯正にかかる費用や、コスト軽減に活用できる医療費控除について、中野みらい矯正歯科の岡本先生に解説していただきました。
監修歯科医師:
岡本 雅文(中野みらい矯正歯科)
日本大学歯学部を卒業後、同大学附属病院にて臨床研修医を経て、臨床研修機関にて矯正治療を専門に学ぶ。その後、歯列矯正専門クリニックでの勤務や、一般歯科の矯正担当医として矯正治療に携わって10年経過。岡 伸二先生と出会い、中野で三代続いた「岡歯科医院」の跡を引き継ぐ。2021年に「中野みらい矯正歯科」を開院。
編集部
歯列矯正は子どもの場合でも「保険外治療」になるのでしょうか?
岡本先生
子どもの歯列矯正も、原則的に保険が適用できません。保険適用となるのは一部のケースに限られます。
編集部
具体的に、どのようなケースで小児矯正に保険が適用できますか?
岡本先生
主に先天的な病気で歯並びや噛み合わせに異常があるケースです。具体的なものに、唇顎口蓋裂や鎖骨頭蓋骨異形成、ダウン症などの遺伝子疾患があります。また、前歯から小臼歯のうち、先天的な要因で永久歯が3本以上生えてこない場合にも保険が適用できます。
※参考資料
日本矯正歯科学会https://www.jos.gr.jp/facility
編集部
小児矯正の費用を抑えるポイントがあれば教えてください。
岡本先生
小児矯正の費用は基本的に保険が適用できませんが、ほとんどのケースで医療費控除の対象になります。支払った医療費の金額や収入に応じて、税金の一部が還付されるので、ぜひこの制度を利用していただければと思います。
編集部
「医療費控除」について、もう少し詳しく教えてください。
岡本先生
医療費控除は自身や家族が1年間に支払った医療費の合計が10万円を超える場合に利用できる制度で、確定申告の際に申請すると支払った所得税の一部が返ってきます。医療費には小児矯正の治療費のほかに、交通費(公共交通機関)や薬代、ほかの診療科の受診にかかった費用なども含むことができます。詳しい申請方法や必要な書類については、最寄りの税務署に相談するか、国税庁のホームページを参考にしてください。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
岡本先生
子どもの歯並びについては学校の歯科健診で初めて指摘され、かかりつけの歯科医院に相談するケースも少なくありません。しかし、小児矯正に関する考え方は歯科医によって様々なのと、保護者が判断を迷ってしまうこともあるようです。したがって、もし治療を検討しているのであれば、小児矯正専門医院に一度ご相談してみることをおすすめします。その際は、治療内容や費用、治療期間などをよく確認して納得のうえで治療を開始していきましょう。
※この記事はMedical DOCにて<子どもの歯並びによっては矯正治療が必要? 何歳ごろまでに治療を始めるべき? 歯科医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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