舞台「鬼滅の刃」主演・阪本奨悟が15歳での経験を糧に再び竈門炭治郎と向き合う「あの頃のピュアな原動力や衝動を大事にしたい」

舞台「鬼滅の刃」主演・阪本奨悟が15歳での経験を糧に再び竈門炭治郎と向き合う「あの頃のピュアな原動力や衝動を大事にしたい」

俳優・シンガーソングライターとして活躍する阪本奨悟が、2025年4月より上演する『舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里』にて、2度目の竈門炭治郎役に挑む。

14歳の頃からミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン (以下、「テニミュ」)の越前リョーマ役として座長を務めていた阪本。当時の経験は、15歳の炭治郎を演じる上でどんな影響を与えているのか。初めて炭治郎を演じた前作での手応えとともに、次なる戦いへ向けて静かに炎を灯す、その胸の内を語ってもらった。

■炭治郎として「心がリアルに奮い立つように」

――前作のシリーズ4作目「遊郭潜入」から主人公・炭治郎役を演じていらっしゃいます。カンパニーに参加した印象はいかがでしたか。

前作では、人間では不可能な戦いや技が繰り広げられるので、それを生身の人間が、人力で、舞台上で表現することのハードルに直面しました。

でもだからこそ、舞台ならではの表現を突き詰めたいという感覚が強かったです。殺陣が大事な作品でもあるので、そこに向けて自分ももっと鍛えていかなきゃいけない。プラスアルファとして自分が役者としてできる、舞台ならではの表現を見つけていきたいなと感じました。

――もともと原作ファンで、中でも炭治郎がお好きとのこと。大好きな炭治郎を実際に演じたことで、役の捉え方に変化はありましたか。

ありました。もともと、炭治郎が持っている優しさや真っ直ぐさが大好きだったのですが、いざ自分が演じたことで“尊敬の念”を抱くようになりましたね。自分の家族が鬼に殺されたら、あんなにもまっすぐでいられるだろうか、と。考えれば考えるほど、尊敬できる人だなと思うようになりました。

――シリーズ作品の主人公を受け継ぐという点で、意識されたことはありますか。

原作はもちろんですが、これまでの作品で先代の小林亮太くんが演じた炭治郎の姿や、矢崎広さんが演じた煉獄さんの言葉を、自分の中に焼きつけるように意識しました。残像というと少し違うかもしれませんが、僕がそこに感情移入することで、受け継いだものを自分ごととして想起しながら演じるのが大事なのかなと。

自分が出ていないこれまでの作品をしっかり見てインプット作業をすることで…例えば前作では煉獄さんの「心を燃やせ」という言葉が出てきたのですが、そういったシーンで自分の心がリアルに奮い立つように意識していました。

■心を軽くしてくれた植田圭輔の言葉

――初演から出演されている我妻善逸役の植田圭輔さん、嘴平伊之助役の佐藤祐吾さんとご一緒された感想をお聞かせください。印象的なエピソードなどはありますか。

顔合わせの日に、植田さんから本当にうれしい言葉をいただいて。「奨悟くんは炭治郎を演じる上で大事なものを持っている人だと思う。その透き通っている部分とか、優しい部分とか、人を思いやれる部分はまさに炭治郎だと思う」と。あの言葉のおかげで、一気に安心して、炭治郎としてのびのびやろうと思えたことを覚えていますね。

稽古場でも、2人の存在はすごく大きくて。演出の末満健一さんとの付き合いも長いということで、2人とも末満さんのやりたいことが感覚的に分かっているんですよね。そういった意味でも、2人の存在に助けられていました。

――今作は善逸と伊之助が不在となりますね。

そうなんですよね…。正直、ちょっと心細いです。今回は僕が空気づくりをして、みんなを引っ張っていかなきゃいけないなと。共闘する5人(炭治郎、竈門禰 豆子、時透無一郎、甘露寺蜜璃、不死川玄弥)との新たな空気感を、これから始まる稽古で作っていけたらいいなと思っています。

――今作で描かれる「刀鍛冶の里」の戦い編を原作で読んだ際に、とくに印象に残ったシーンや好きなシーンはどこでしょうか。

炭治郎の「円舞一閃」のシーンです! 自分の技に善逸の「壱ノ型・霹靂一閃」を取り入れていて、技名にも“一閃”が入っている。あの場に善逸と伊之助がいないからこそ、めちゃくちゃエモいなと。一緒にいないけど、一緒に戦っているんだなと思えて、原作漫画を読んだときに内心ものすごく盛り上がりました! 舞台ではどう描かれるのか、僕自身も楽しみにしています。

■プライベートで負けを認めた“強敵”とは?

――先日発表された、黒死牟役の加藤和樹さん、童磨役の浦井健治さんの映像出演も大きな話題となっています。2人の映像出演を聞いていかがでしたか。特に加藤さんとは「テニミュ」シリーズで、阪本さん演じる越前リョーマVS加藤さん演じる跡部景吾として対戦した仲ですね。

それはもう、ものすごい衝撃でした。「え、いいんですか!?」と(笑)。そうそうたるキャリアをお持ちの2人が新たに参加してくださるのはうれしかったですし、ひとつのモチベーションにもなりましたね。特に初舞台が「テニミュ」という共通点を持つ和樹くんとは、17年ぶりの共演ということで胸が熱くなりました。この17年間で成長した姿を見ていただけたらいいなと思います。

――上弦の鬼のTOP2、かなり手強そうですね。

そうですね。めちゃくちゃ強そうですよね(笑)。倒せるかは、今のところ分からないです!(笑) 正直、すごく強いと思います。でも、それがいいんだと思ってます。強敵感が大きければ大きいほど、乗り越えるべき壁が高ければ高いほど、物語は面白くなるので。僕たちも挑みがいがありますし、お客様もより楽しめるんじゃないかなって。

――鬼との戦いを描く本作にちなみ、今戦っているものや、克服しようと挑んでいるものはありますか?

この戦いはもう諦めてるんですが…アボカドです。僕、アボカドが苦手で、4~5年前に克服しようと頑張ったんですが、結局勝てず…。戦いを諦めて、負けを認めています(苦笑)。

――それは小さい頃から?

小学生の頃のクリスマスディナーがきっかけですね。七面鳥の周りに盛り付けてあった野菜の中にあったきゅうりを食べてみたら、きゅうりとは思えないぐにゃっとした食感に「うわー!」となってしまって。

アボカドを知らなかった僕が悪いんですが、最悪の出会いをしてしまったせいでトラウマになってしまったんです…。話していて、ずっと克服できていないのが情けなくなってきました(苦笑)。

――微笑ましい子供時代のエピソードですね。もう1つお聞きしたいのが、指輪についてです。以前インタビューで、演じた役をモチーフとした指輪を作るとお話されていました。今日着用している指輪は…?

今日着けているのは、前作(遊郭潜入)の千秋楽後にオーダーメイドで作った“炭治郎リング”です。「竈門炭治郎」と刻印を入れて、「諦めない心」という石言葉がある赤い石を入れてもらいました。僕にとってはお守り的なアイテムですね。

――普段から身に着けたり、楽屋に飾ったりするのでしょうか。

こういった撮影の日に着けることはありますが、普段はあまり持ち出さず、家に置いています。失くしちゃうのも怖いですし(笑)。今作もこの指輪をお守りに、走りきりたいなと思ってます!

■今、振り返る“15歳の阪本奨悟”と“15歳の炭治郎”

――炭治郎は15歳で多くのものを背負っていますが、阪本さんも14歳の頃にはすでに“テニミュ”で主演を務め、第一線で活躍されていました。当時を振り返ってみて、どんな15歳でしたか。

当時はいい意味で世間知らずだったのかな。若い頃から芸能活動をしていて、世間知らずだからこそ夢見がちだったし、現実を理解していなかったなと。

やっぱり生意気だったんでしょうね(笑)。周りから支えてもらっていたこと、そこへの感謝が足りていなかったなと思います。当時の自分がどれだけ恵まれていたのか、本当の意味で分かっていなかった。でも14歳、15歳でそれを理解するのも無理だったのかなとも、今は思いますね。

――その頃の経験が、炭治郎を演じる上で生きている部分もある?

すごくあると思います。当時は自分にできることに、がむしゃらに挑むしかなかった。それって、まさに炭治郎の真っ直ぐさに通じる部分で。だから、あの頃のピュアな原動力とか衝動というのは、炭治郎を演じる上で大事な要素だなと思う。当時のがむしゃらな頑張りを思い出すようにしています。

――最後に、本作は炭治郎にとってどんな戦いになるのでしょうか。

今回は、善逸と伊之助が不在で炭治郎1人だけという、また新しい戦いが待っていると思います。でも、今回は甘露寺さんや玄弥、時透くん、そして禰 豆子との共闘が描かれ、新しい人間関係が垣間見えるものになるのかな、と。

一見すると正反対な炭治郎と玄弥が、戦いの中でお互いを理解していく過程は熱いヒューマンドラマだし、禰豆子や時透くん、甘露寺さんの内面も紐解かれていきます。この5人ならではの新しい“呼吸”が生まれると思いますので、ぜひ楽しみに待っていてほしいです。

撮影=玉井美世子
取材・文=双海しお
スタイリスト=山田安莉沙
ヘアメイク=木内真奈美(オティエ)

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