白内障の治療費用や合併症
白内障の治療費用の目安を教えてください。
一般的な白内障手術で保険適用の場合、治療費の目安は以下の通りです。
3割負担:約50,000〜60,000円
2割負担:約35,000〜40,000円
1割負担:約20,000円
この場合、単焦点レンズを使用します。病院やクリニックによって金額は多少前後するため、受診する医療機関に確認しましょう。
また、多焦点レンズの手術は2020年4月から、保険診療と選定療養を組み合わせて行われています。これは、診察や手術の技術料は保険でまかなわれ、眼内レンズ代のみが自由診療になるというものです。総額の目安として、20~30万円かかると考えられます。
また、白内障では薬物治療も行われます。しかし現在日本で白内障治療薬として使用されてる薬には、白内障を完治させたり目の機能を回復させたりする効果はありません。白内障の進行を抑える目的で使用されています。
薬物治療ではピレノキシンおよびグルタチオンという成分の点眼薬が使われます。これらは保険適応であるため安価で済むでしょう。
手術の合併症について教えてください。
白内障手術は日帰りで行うことができる簡便で安全な手術となっています。一方で、術後に合併症を発症する可能性があります。術後早期に起こる可能性があるのは、角膜浮腫・虹彩炎・眼圧上昇などです。早期の術後合併症予防目的に、術後は基本的に点眼を開始します。きちんとつける事で、多くの合併症を予防することが可能です。
ただ、点眼をしたり清潔を守っていても、100%合併症を予防できるわけではありません。必ず術後は決められた日に受診し、フォローしてもらうことが大切です。
重篤な合併症として細菌感染による術後眼内炎が挙げられます。悪化した場合、適切な処置をしなければ失明する可能性もあり、危険です。
また、視力に大切な黄斑という部位に術後一時的にむくみが生じる嚢胞様黄斑浮腫という合併症もあります。浮腫が続く場合はステロイドの点眼薬を使用する必要がありますが、自然に治る場合もあります。
また、多焦点レンズを使用した場合に発症しやすい合併症が、グレア・ハローです。グレア・ハローは水晶体内で光が乱反射することにより引き起こされます。具体的には、暗い中で光を見た時に、光の周りに輪っかをかけたように見える現象と、光がまぶしく広がる現象をいいます。
普段の生活で注意するべきことはありますか?
白内障の手術後には、注意しなければいけないことがあります。手術の直後には、目をおさえる行為・洗顔・入浴は控えましょう。傷口から細菌が入ってしまう可能性があります。また、眼帯や保護メガネを付けることで、細菌の感染や紫外線から目を守りましょう。
飲酒は術後一週間程度は控えた方がベター。飲酒をすると傷口の炎症が起こる可能性があります。
手術後の車の運転は危険です。手術によって水晶体の濁りが無くなることでまぶしさを感じるようになり、見え方も手術前とは変わってくるでしょう。
術後は視力も変わりますが、術後の状態に合わせた眼鏡の作成はすぐには行わないことが多いです。レンズが目の中で安定してから作成することをおすすめします。
また保証期間がある方がよいでしょう。術後しばらくは運転は控えた方がよいですが、どうしても運転が必要な場合は術前に医師へ相談しましょう。
編集部まとめ
白内障は多くの人が発症する可能性が高い病気です。視力の低下や見えにくさを引き起こし、生活の質が低下してしまいます。
一度発症すると薬物治療では完治できない白内障ですが、手術で改善することができます。日帰りでできる手術であり術後すぐに視力が回復するため、白内障で生活に不便を感じている人は手術することをおすすめします。
手術後は車の運転や飲酒を控えましょう。見え方が落ち着くのに3ヵ月程度かかる可能性があります。合併症を防ぐため、細菌の感染にも気を付けてください。
参考文献
白内障の病態および治療の現状と今後の展望
白内障自己診断テスト|日本白内障学会
老人性白内障
この記事の監修歯科医師
柿崎 寛子医師(Vista medical center Shenzhen)
三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科
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配信: Medical DOC
