私事だが、何を隠そうここ数年「かかり釣り」にハマっている。きっかけはメディア取材だったのだが、もともと好きなヘラブナ釣りに共通する魅力を感じる。ダンゴの配合や水加減、握り回数でポイントを作り魚を寄せて釣りを組み立てるところが実に面白く、本アタリまでの駆け引き、また力いっぱいのアワセが決まった時の快感がクセになる。先日、どうしても名手・山本太郎大先生の動画を見たくなって、釣りビジョンVOD『チヌ道一直線』の最新作を視聴してみた。釣りにおいて〝釣れた〟〝釣った〟の差は大きい。少しでも学べるところがあれば!と目を凝らした私なりの仰天ポイント、学びポイントをまとめてみた。
短竿、フロロカーボン2号で青物とやり取り
釣り場は三重県桂城湾・白浦。ロケ前日まで数日間釣果がなく、チヌは港に入っているようだが口を使わないという。渡った筏は「木の前」。水深25mと深場に設置された筏だ。ただ深い分、水温が安定していて澄み潮によるプレッシャーも無さそうな印象を受ける。
午後の時合いに備え、また冷凍エサが溶けるまで、ボケジャコ・練り餌・くわせマルエビと、刺し餌のみローテーションさせながら、どの層にどんな魚がいるのか探っていく。途中、「時間がかかりすぎて、まどろっこしいな」と、ノーシズ(オモリを使用しない)から5Bのガン玉打ちに切り替え、練り餌で上層から探っていく最中、目の前で60cmクラスのメジロ(ワラサ)が喰ってきた!
山本「やめてよ食べよったわ~、食べてんのまともに見えた」
竿は1.6mの短竿、道糸はフロロカーボン2号。半月以上のしなりを見せる竿にドキドキである。本命ではないものの、道糸をほぼ出さず、竿のしなりだけでいなし、釣り上げる様はさすが。
かかり釣りの穂先はとても細く、針と刺し餌だけでも着底が取れる繊細さ。微かな変化も動きとして現れるので注目して欲しい。

魚影の豊富な桂城湾。あがった筏は水深25mある深場の「木の前」。©釣りビジョン

小さな変化も見逃さない繊細な穂先。オモリなし、ハリと刺し餌だけでも着底が取れる。©釣りビジョン

強烈なアタリで竿が大きくしなる!竿はシマノ「セイハコウ フィラート 160」。青物も引き寄せる強靭なパワーを誇る。©釣りビジョン

繊細なイカダ竿で釣りあげた60cmオーバーのメジロ。©釣りビジョン
ダンゴの握り回数、ポイントの見切り
ダンゴ釣りにシフト。25m下の海底まで届ける為に握り回数は30回と多め。ダンゴの握り回数は難しいのでとても参考になる。しっかり握ったダンゴは付け餌を海底に届けるだけでなく、直ぐには割れずエサ取りからガードする意味もある。
山本「早く割れてもチヌが寄る前に他の魚に取られてしまうと思うから、しばらく割れないようにしている。たぶん1分以上持ってると思う」
エサ取り対策でさなぎを使ったりコーンを付けたり、ウネリに対応して穂先を変えたりと工夫するも本命のアタリはない。となると悩ましいのが、ポイントを移動するかどうか。越冬中のチヌにとって居心地が良いだろう深場でこのまま続けるべきか、ボラがいる(ボラの下にはチヌがいることがよくある)浅場のポイントへ移動したほうがよいのか。
山本「普段からエサも取られない時間帯が普通だというならよいかもしれないけど、、、オキアミも取られない、これはまずいなというなら変わったほうがよいかもしれない」
など悩んでいたところ、ホシザメが釣れたことで移動を決断。
山本「ホシザメは過去に何度か釣ったことがあるけど、アカンときやった」

過去、かかって釣果がよかった試しがないというホシザメをかけてしまう。©釣りビジョン
配信: 釣りビジョンマガジン