前立腺がんは2018年には92,021人が日本で新たに診断され、男性では胃がんを上回り、患者数が最も多いがんです。
といわれています。
日本の高齢化、食事の欧米化、検査技術の発達により前立腺癌と診断される患者数は増加傾向です。
日本に限らず全世界でも罹患率の高いがんとなっているため、男性にとっては気になる病気といえるでしょう。
そこで、今回は前立腺がんの兆候や症状・なりやすい人などの質問にお答えしていきます。再発の可能性についても解説しているので、参考にしてください。
監修医師:
平澤 陽介(東京医科大学病院)
2008年3月北海道大学医学部医学科卒業
2010年3月横浜労災病院初期研修修了
2011年4月慶應大学病院泌尿器科助教
2014年4月東京医科大学病院泌尿器科助教
2018年4月東京医科大学病院泌尿器科助教・医長医学博士取得
2019年5月Cedars Sinai (アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス)にResearch fellowとして留学
2021年4月東京医科大学病院泌尿器科講師
※この記事はMedical DOCにて『「前立腺がん」とは?症状・原因・検査についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
前立腺がんとはどんな病気?
最近よく耳にする前立腺がんとはどんな病気ですか?
前立腺がんは男性だけにある前立腺という臓器に発症するがんです。
膀胱の出口近く、恥骨の裏側にある栗の実のような形をしているのが前立腺で、中には尿道が通っています。この前立腺の細胞ががん化して繁殖する病気が前立腺がんです。
比較的ゆっくりと進行するがんで、中高年・特に高齢者の発症が多い傾向にあります。
前立腺がんにみられる兆候や症状を教えてください。
初期の前立腺がん自体にはほとんど自覚症状が無いのが特徴です。初期の前立腺がん自体にはほとんど自覚症状が無いのが特徴です。
多くの方は健康診断や人間ドックの採血でPSAという前立腺癌の腫瘍マーカーが高値のため、精密検査(組織診断)を受けて診断されます。
ただし、すでに転移を生じているような進行前立腺癌の場合は、血尿や尿勢低下、頻尿、腰痛や下肢の麻痺・しびれ(骨転移による痛みやしびれ)などの症状がでることがあります。
進行前立腺癌になってしまいますと、根治治療が難しくなってしまうため、早期発見のため早めにPSA採血を受けておくことが重要です。早期に発見(診断)できれば十分に完治を目指せる癌です。
前立腺がんは何が原因で発症するのでしょうか?
前立腺がんの原因ははっきりと解明されていないのが実情です。遺伝的なもの・食生活・喫煙・肥満そして高齢ということも原因の1つではないかといわれています。
特に遺伝という点では近親者に前立腺がんの罹患者がいる場合、罹患率は2倍から5倍といわれ、比較的若い年齢で診断される特徴があるため、家族に罹患者がいる場合には推奨年齢よりも早くPSA検査を行うことが望ましいでしょう。
この他にも男性ホルモン(アンドロゲン)が罹患率に関わっていることもわかってきています。
前立腺がんになりやすい人の特徴はありますか?
一概にはいえないのですが、次のような人は前立腺がんになりやすいのではといわれています。
60歳以上の高齢者
運動をほとんどしない人
肥満がある人
食生活の欧米化
家族に前立腺癌の既往がある人
高齢者は前立腺がんのリスクが高いといわれています。特に60歳以上、それも高齢になるほどリスクは高くなるでしょう。
80歳以上では190人に1人は前立腺がんに罹患しているといわれます。
また若いうちから運動をしている人はまったくしていない人と比べて前立腺がんに罹患しにくいと考えられます。これは肥満との関係が大きく関わっているのではと考えられるからです。
肥満と前立腺がんの関係では、BMIが5上がると前立腺がんの罹患率が5%上がるという結果が出ています。
運動をしている人は肥満にならない傾向があることから、運動をしない人は前立腺がんの罹患リスクが高いといわれるのでしょう。
その他にすでに解説したとおり、近親者に罹患者がいる人もなりやすいといわれています。
発症に年齢は関係あるのでしょうか?
前立腺がんの発症は主に高齢者が多いことから、年齢はおおいに関係があると考えられます。
前立腺がんはほぼ高齢者のがんといわれ、90%が60歳以上の人の罹るがんともいわれています。
高齢者になるほどその罹患率は増えて、亡くなられた後の解剖では90歳以上の人の50%が前立腺がんにおかされていたといわれるほどです。
今後がんの発生率がトップになるのではといわれる前立腺がんですが、これは高齢人口が増加していることが大きな原因です。
編集部まとめ
前立腺がんについて質問にお答えしました。男性のがんでは最も多い罹患数の前立腺がんです。
今はさまざまな治療薬もできており、超高リスクの進んだがんの方も治療効果を期待できるようになっています。
それでも一番大切なのは早く見つけて治療を行うということにつきます。何よりも初期段階での発見・治療が5年生存率100%の重要な鍵となるのです。
日頃からバランスの良い食事・適度な運動・禁煙・節酒・体重維持などを心掛けるようにした上で、定期的な検査を受けるようにしてください。
参考文献
前立腺がん(前立腺癌)|順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科
前立腺がんについ|がん情報サービス
前立腺がんの原因は何?|Medical Note
前立腺がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて|がんメディ
前立腺がんで行われるPSA検査とは?|Medical Note
前立腺がんとは?|Medical Note
再発|この症状もしかして前立腺がん?
前立腺がんの放射線治療|Medical Note
前立腺がん治療後の療養生活と経過観察|tomosnote
配信: Medical DOC
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