「放射線肺炎」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

「放射線肺炎」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

放射線肺炎の前兆や初期症状について

放射線肺炎は多くの場合、放射線治療終了後数週間から3ヶ月以内に発症し、一般的には最長で治療後1年までは生じうるとされています。早期に見られる症状や前兆は以下の通りです。

乾性咳嗽(かんせいがいそう)
乾いた咳が特徴的で、徐々に頻度が増していくことがあります。

息切れ
最初は運動時にのみ感じる軽度の息切れが、次第に安静時にも現れることがあります。酸素が低下している場合は酸素の投与が必要になり、入院の適応になる場合があります。

微熱
持続的な微熱がみられることがあります。発熱の程度は個人差がありますが、感染症によるものと区別が必要です。

胸部の不快感や痛み
胸が重く感じる、または痛みを伴う場合があります。この症状は炎症によるものと考えられます。

全身倦怠感
炎症性サイトカインの放出により、全身的な疲労感が現れることがあります。

受診するべき診療科は呼吸器内科または腫瘍内科となります。

放射線肺炎の検査・診断

これらの症状が見られた場合、以下のような検査を行います。放射線肺炎の診断は、前提として放射線が腸管にある程度あたっていること、患者さんの症状、既往歴、および検査結果を総合的に評価して行います。

問診
放射線療法の部位や期間を確認します。必要に応じて放射線治療を受けた施設に問い合わせを行い、放射線治療の範囲や強さを確認します。また、症状の詳細や持続期間を尋ねます。

身体診察
腹部の触診で痛みや腫れを確認します。

放射線肺炎の診断には、患者さんの放射線治療歴と症状を基に、以下の検査を組み合わせて行います。

検査の種類と目的

胸部X線検査
肺に炎症や影(浸潤影)があるかを確認します。簡便で広く利用されますが、画像の解像度が高くないため、軽度の病変の発見は困難な場合もあります。他にも治療前後の効果の評価や経過観察の際にも用いられます。

胸部CT検査
X線では見えにくい微細な炎症や浸潤影を詳細に評価します。病変の広がりや重症度を正確に把握できます。

肺機能検査
肺活量やガス交換能力を測定し、肺機能の低下を評価します。

血液検査
炎症の指標(CRP、白血球数)や酸素飽和度を確認します。時に動脈からの採血を行い、血液中の酸素および二酸化炭素濃度を測定し、酸素不足の有無や程度を評価します。

気管支鏡検査
気管支に内視鏡と呼ばれる先端にカメラがついた細い管を挿入し、気道内の状態を確認したり、必要に応じて気道内の液体や組織を調べます。感染症との鑑別などに有用とされています。

感染症の除外検査
症状が感染性肺炎によるものでないことを確認します。喀痰や血液の培養やPCR検査などを行います。

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