「放射線肺炎」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

「放射線肺炎」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

放射線肺炎の治療

放射線肺炎の治療は、症状の程度や患者さんの全身状態によって異なります。多くの場合は外来通院で治療ができる場合がほとんどですが、酸素投与が必要な場合など、重症例では入院が必要になる場合もあります。主な治療方法を以下に示します。

ステロイド薬の投与目的
炎症を抑えることで症状の進行を防ぎます。最初は多めの量で開始し、徐々に減量していきます。減量には数週間から数ヶ月時間をかけて行うために長期の治療が必要になります。ステロイドにも副作用があり、これらの管理や対応が必要なため、他にも内服薬が増えることが多いです。

酸素療法
酸素低下時に酸素不足を補うことで症状を緩和します。重症例や慢性化した場合に適応になることがあります。

支持療法
軽症例では咳や息切れを緩和するために咳止め薬や気管支拡張薬を使用するといった対症療法が選択される場合もあります。特に乳がんに対する放射線治療後は軽症で済むことが多く、対症療法を選択する場合が多いです。

放射線肺炎になりやすい人・予防の方法

放射線治療を行う際は放射線の照射範囲や線量を調整して肺への影響を最小限に抑えてはいますが、病気がある場所や種類、大きさやサイズなどで放射線がある程度は肺に当たることは避けられないことが多いのも事実です。
胸部に放射線治療を受けることで放射線肺炎になりますが、放射線肺炎の発症リスクや重症化するリスクを高める要因として、次のことが知られています。治療中の喫煙や喫煙歴、間質性肺炎、COPDなどの基礎疾患がある方やご高齢な方ではそもそも肺機能が落ちていることが多く、炎症による症状が出やすいとされています。喫煙は手術の合併症を増やすなど、他にも悪影響が多く、治療開始後の禁煙が勧められています。また、間質性肺炎がある方は重症の放射線肺炎の発症頻度が高いため、放射線治療の適応にならない場合もありますが、それでも必要な治療がされるように臨床試験などで方法が検討されています。併用療法として化学療法と放射線治療を同時に受ける方は肺の炎症が生じやすいとされています。放射線治療を受けている間は抗がん剤治療を受けるなどもあり、食欲が低下し、栄養状態が悪化しやすいです。こうした体力の低下も治療を難しくすることがあり、主治医とも相談しながら、栄養補給の方法を検討することが重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることで、免疫力を高め、がんのリスクを下げることができます。これは仮に放射線肺炎になった後もとても重要なことです。

関連する病気肺がん悪性リンパ腫

放射線肺線維症

慢性呼吸不全

気管支喘息サルコイドーシス

放射線誘発性肺高血圧症

参考文献

がん・放射線療法改訂第8版 (2023年)(書籍)

がん情報サービス呼吸困難・咳・痰もっと詳しく:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

呼吸困難・咳・痰もっと詳しく:[国立がん研究センターがん情報サービス一般の方へ]

関連記事:

Medical DOC
Medical DOC
Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。
Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。