老人性腟炎の治療
治療は症状の程度に応じて選択され、段階的に行われます。まず基本となるのが、腟やその周辺の保湿ケアです。一般的な全身用の保湿剤で十分な場合もありますが、症状が気になる場合は膣用に開発された専用の保湿剤の使用も検討します。
医療機関では、女性ホルモンを含む腟用の薬が処方されることが多く、これを定期的に使用することで症状の改善が期待できます。この治療は数週間で効果が現れ始めますが、十分な効果を得るために3ヶ月程度の継続が推奨されます。女性ホルモンの使用に不安がある方もいらっしゃいますが、腟に直接使用する薬は全身への影響が少なく、多くの場合安全に使用できます。
症状が更年期障害の一部として現れている場合は、全身的なホルモン補充療法が選択されることもあります。また、症状が重い場合や、これらの治療で十分な改善が見られない場合は、特殊なレーザー治療を行う場合もあります。
治療中は定期的な診察が必要で、症状の変化や治療の効果を確認します。また、不正な出血などの異常が見られた場合は、すぐに医師に相談することが大切です。
老人性腟炎になりやすい人・予防の方法
萎縮性腟炎は、閉経を迎えるすべての女性に起こる可能性がある状態です。特に若くして閉経を迎えた方や、手術で卵巣を摘出した方、骨盤の部分に放射線治療を受けた方では、より若い年齢での発症リスクが高まります。
予防のためには、日常的なケアが重要です。特に腟やその周辺の保湿を心がけることが大切です。入浴後などに保湿剤を使用することで、乾燥を防ぐことができます。また、パートナーがいる場合は、閉経後も適度な性生活を続けることで、腟の萎縮を予防する効果が期待できます。性行為の際は必要に応じて潤滑剤を使用することで、不快感を軽減することができます。
骨盤底の筋肉を鍛える体操も効果的です。毎日の生活の中で、禁煙、適度な運動、バランスの良い食事を心がけることも、予防に効果があります。
また、症状に気づいたら、恥ずかしがらずに早めに婦人科を受診することが大切です。早期発見・早期治療により、症状の進行を防ぎ、快適な生活を送ることができます。また、定期的な婦人科検診を受けることで、早期の段階で症状に気づくことができます。
関連する病気
膣カンジダ症
膣萎縮
参考文献
Portman DJ, et al:Genitourinary syndrome of menopause: new terminology for vulvovaginal atrophy from the International Society for the Study of Women’s Sexual Health and the North American Menopause Society.
The NAMS 2020 GSM Position Statement Editorial Panel: The 2020 genitourinary syndrome of menopause position statement.
Angelou K, et al: The genitourinary syndrome of menopause: An overview of the recent data. Cureus 2020
Newson L, et al: Position statement for management of genitourinary syndrome of the menopause (GSM). BSSM. 2023
Buggio L, et al: Probiotics and vaginal microecology: fact or fancy? BMC Womens Health 2019
配信: Medical DOC
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