立ちくらみやめまいを経験した人は多いのではないでしょうか。こういった症状が出ても多くの方が特に気にしていないかもしれませんが、実はその症状、低血圧が原因のこともあります。
高血圧は身体に良くないというイメージはあるかと思いますが、低血圧も身体の不調をもたらすことがあります。
ご自身や大切な方が低血圧の疑いがある場合、不安に感じてしまうものです。ただどのくらい血圧の数値が低いと低血圧なのか、知っている人の方が少ないのではないでしょうか。
そこで、本記事では低血圧の基準や症状、原因について詳しく解説します。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
低血圧は治療しないでも大丈夫? 治療の必要性と予防策を医師が解説
※この記事はMedical DOCにて『「低血圧」の基準・症状・原因・おすすめの食べ物や飲み物はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
低血圧はどのような症状?
低血圧はどのような病気でしょうか?
低血圧とは、基準に対して血圧が低い病気のことです。血圧は、血液が血管内の血流を押す力のことをいい、血液が強く血流を押すことで全身に血液が循環します。
そのため、低血圧となると十分に血液が循環しなくなってしまいます。これにより、様々な症状や内臓の障害をきたすことがあるのです。
低血圧の基準を教えてください。
低血圧の基準は世界保健機関(WHO)によって収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下と基準が定められています。
収縮期血圧と拡張期血圧とは、いわゆる上の血圧、下の血圧のことです。こちらの方が聞きなじみがあるのではないでしょうか。mmHgは血圧に使われる単位のことで、一般には単位を読まないことがほとんどです。
ですので、低血圧の基準は上が100、下が60以下と覚えておくとよいでしょう。
どのような症状がみられますか?
低血圧の方が訴える症状として最も多いのが立ちくらみとめまいです。他にも身体がだるいと感じたり、疲れやすく感じたりと症状は様々です。
低血圧の症状は一般的に男性より女性の方が多いといわれています。低血圧の人の中には、無症状の方もいます。
ですが、高度の場合には意識を失ってしまったり、一過性脳虚血発作といって一時的に脳の血管が詰まったりすることがあるため甘く考えてはいけません。
低血圧になる原因を教えてください。
低血圧の原因は、原因が特になく元々血圧が低い場合と、原因がはっきりしている場合があります。元々血圧が低い場合は、体質であることがほとんどです。そのため、特に気になる症状がなければ病気とはいえず、治療を必要としません。
低血圧の原因となる病気は心臓疾患・呼吸器疾患・内分泌疾患など様々です。薬の副作用で低血圧となる場合もあります。
脱水が原因となることもあるため、普段あまり水分を摂らない人は注意しましょう。
血圧はどこまで下がると危険なのでしょうか?
血圧が下がりすぎて、ショック5徴(顔面蒼白・虚脱・冷汗・呼吸不全・脈拍触知不能)といわれる特徴的な症状がでている時は身体の危険のサインです。ショック状態と定義される低血圧の基準は心臓が原因かどうかで異なります。
心臓が原因の場合には上の血圧が90未満が基準です。心臓が原因ではなく、普段の上の血圧が150以上の場合には60以下、110以下の場合には40以下が基準となっています。
このように普段の血圧によって、どこまで下がると危険なのかは異なるため、日頃から血圧を測るように心掛けるとよいでしょう。
編集部まとめ
今回は、低血圧について紹介しました。
低血圧になっても症状がないことがあったり、症状を感じてもすぐに改善することがあるため我慢してしまったりすることもあります。
ですが、病気を原因に低血圧となっていることもあるとお分かりいただけたのではないでしょうか。
低血圧は、症状を改善させる効果が期待できる薬剤があったり、生活を見直したりすることで治療可能な病気です。
低血圧を疑う場合には、早めに病院を受診しましょう。
参考文献
検査や治療を必要とする低血圧とはどういうものですか(日本心臓財団)
配信: Medical DOC
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