年々痩せにくくなるのは、加齢のせいだけではない
若いころから、いつも「痩せたい」と願い、流行りのダイエットに取り組んでは挫折したり、無茶なダイエットでリバウンドしたり…そんなことを繰り返すうち、年々痩せにくくなって「どうせ無理」と諦めがちな女性は多いものです。とくにママは、家族と一緒に食事をするので「食事制限ができない」と悩みがち。
でも、管理栄養士の梅原祥太先生によると、痩せにくくなった人ほど「しっかり食べること」が、ダイエットになるそう。それはなぜ?
「若いころに、極端なカロリー制限や単食ダイエット、置き換えダイエットなど、無理を重ねるうちに、筋肉が落ちて、脂肪が溜まりやすい体になっていきます。加齢とともに代謝が落ちて痩せにくくなりますが、これらの無理なダイエットを積み重ねてきたせいで、痩せにくい体が作られてしまったとも言えます。
その結果、とくに女性に多いのが『隠れ肥満』です。成人女性で、体重は標準、BMIも標準から痩せ型の範囲内なのに、体脂肪率は30%を超えている場合は確実に『隠れ肥満』です。全身の筋肉量が少ないので、たるんだり、むくんだりしやすく、体重以上に太って見えてしまう。体脂肪率30%未満でも、隠れ肥満の人はいるんですよ。そんな隠れ肥満から抜け出すためには、やみくもにカロリーや食事量を制限することではなく、三大栄養素をきちんと摂って筋肉を養うこと。つまり、しっかりと食べるダイエットなのです」(梅原先生、以下同)
健康的に痩せるために必要なカロリーとたんぱく質
そのためには、長年信じ込んできた「常識」をひっくり返すことが重要。「カロリーを抑える」「食事を抜く」「肉類は避ける」「糖質は徹底オフ」など、これまで信じてきた考えを一度見直すことが大切だと、梅原先生は言います。
「もちろんカロリー過多や糖質過多はよくありませんが、ただ量を抑えればよいわけではありません。隠れ肥満から抜け出すために必要なのは『筋肉』です。体重の数値に一喜一憂するのではなく、筋肉や脂肪の量など、体重の内訳を見るようにしましょう。きちんと筋肉がついていれば、体脂肪が減っていき、同じ体重でも見え方はまったく違ってきます。すっきりとバランスの取れた体に変わっていくのです」
筋肉が必要と聞くと「筋トレしなきゃ」と思いがちですが、運動に走ることよりも、見直すべきは食事の内容! 隠れ肥満のまま、ひたすら運動したところで、必要な栄養成分を摂っていなければ意味はないそう。
「ポイントはふたつ。まず基礎代謝量を下回らないカロリーを摂ること。そして、たんぱく質の量を落とさないことです。年齢や運動量にもよりますが、普通に暮らす成人女性であれば、1日1000kcalは切らないようにしましょう。また、1日あたりのたんぱく質量を60gは摂取することです」
たんぱく質60gを取るためには、肉や魚、卵、大豆製品などの総量が300gの計算に。難しそうに感じますが、梅原先生によると「たとえば、朝に卵2個と納豆1パックを食べ、昼と夜に魚か肉を100gずつ食べると、たんぱく質量が60gくらいになる」そう。
「ダイエットでは『体に不調がなくて元気であること』が大前提。『食べるのが怖い』と思って小食になりやすい人は、まずきちんと食べる意識を身につけることが必要です」と梅原先生。きちんと食べて、必要な筋肉や脂肪を残しながら、すっきりと痩せた体型を目指しましょう!
(取材・文:富永明子)