糖質過多でなぜ太る? 制限しすぎることのデメリット
「糖質を摂りすぎると太る」ことはわかっていても、家族と一緒に食卓を囲みながら、自分だけごはんやパンを抜くことは難しく、つい食べてしまう。または「とりあえず糖質カット」とばかりに一気に制限しすぎて、たまにストレスからドカ食いしては反省…。そんな経験はありませんか?
糖質制限ダイエットの流行で「糖質は悪」と思いがちですが、糖質(炭水化物)は三大栄養素のひとつ。どんな役割があるのでしょう?
「糖質とは、炭水化物に含まれる成分のひとつです。ごはんやパン、パスタやイモ類、果物や菓子などに多く含まれています。糖質は体内で余ってしまうと、中性脂肪に変わり、体内に蓄えられる性質を持っています。そのため、体に不必要なほど糖質を摂ると太ります。
しかし、糖質は本来、運動のメインエネルギーとなるもの。糖質を摂取して血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌されますが、インスリンは筋肉の合成に必要。極端に糖質をカットしてしまうと、筋肉不足が進んでしまいます」(梅原先生、以下同)
そもそも、きれいに痩せるためには、筋肉を落とさないことが大切。筋肉がないと、たるんでいく体を支えることができず、さらに代謝も落ちてむくみやすくなり、すっきりと痩せた見た目にはなりにくいそうです。
「さらに、糖質制限で痩せるのは、体内から水分が減るからです。糖質は1gあたり、3gの水を保有する性質を持っているので、糖質を摂らなければ水分が抜け、体重はすぐに落ちます。体内の水分が減ったあと、体脂肪と一緒に筋肉も落ちていきます。つまり、糖質制限ですぐに体重が減ったと喜んでいても、その内訳を見れば、脂肪よりも水分や筋肉の重さが減っただけ。糖質を摂ればまたすぐに戻ってしまうのです」
きれいに痩せるために必要な1日の糖質量とは?
糖質を摂りすぎると太るのは事実。では、一体どのくらいの量を摂るのが適切なのでしょう?
「日常的に激しい運動をしている人は異なりますが、普通の暮らしをしている場合は、1食あたり糖質40~50g、1日あたり120~150gが目標値になります。茶わんに白米を軽く一杯(100g前後)で、糖質は40g程度。さらにほかの食品にも糖質は含まれていますので、おかずで10gほどの糖質を加えます。ちなみに、定食屋さんで出てくるごはんは200g前後なので、あの量を3食だと多すぎますね」
なお、ハードな運動を取り入れている場合、糖質を摂らないとむしろパフォーマンスが落ちてしまうそう。
「運動量の多い方が糖質制限をすると、筋肉に溜められたグリコーゲンがエネルギー源として使われ出し、筋肉量が落ちてしまいます。それを防ぐためにも、運動後に糖質を摂ることをおすすめします。また、筋トレをする場合は、運動前に糖質を摂取しておくとエネルギーが出て力を出しやすいので、効率よくトレーニングできますよ」
厳しく制限をしても、その生活は続きにくいもの。必要な量はしっかりと摂る、ゆるめの糖質制限であれば取り組みやすいはず。メタボ腹に悩むパパと一緒に、ゆるくトライしてみましょう。
(取材・文:富永明子)