子と会話が弾むコミュニケーション術

子と会話が弾むコミュニケーション術

第3回 わが子をニートにしない育て方
子どもとの信頼関係を築くには、何より会話が大切。でも、徐々に成長していく子どもとどんな会話をすればいいもの? 日本心理コンサルティング代表の櫻井勝彦先生に聞いた。

「コミュニケーションをスムーズにする基本は、まず『聞く』こと。カウンセラーが心がけていることも同様ですが、一般的に『子ども4:大人1』の割合で話すようにすると良いですよ」(櫻井先生 以下同)

実は、子どもが親とコミュニケーションをとらなくなっていく多くのきっかけは、父親の「全否定」だそう。子どもの話を聞いている途中で「それはお前が悪い」「そうじゃないだろ」などとかぶせてしまう・否定してしまうことで、子どもが「わかってくれない」と思い、何も喋らなくなるのだと言う。

子と会話が弾むコミュニケーション術

母親は、話を聞いてあげることが比較的多いが、逆に「何でも喋る」ことが子どもの成長を阻害する心配も。

「成長段階では、親と喋らなくなる時期もあるものです。あまりに母子密着だと、子どもが自立できなくなる可能性も出てきます」

今まで子どもの話をしっかり聞いてきた上で「最近話さなくなった」なら、自立の一歩。否定してきたことで親に何も話さなくなったのなら、避けられている可能性が高いそう。

「極端に言えば、子どもが『○○を殴りたい』などと言ったとしても、それすら否定しない。まずは『そういうとき、あるよね』と一度共感する。こういう発言をするときの子どもは、心の風船がパンパンに破裂しそうな状態で、どうにもできずにそういう言葉を投げてきている。それを否定するのは、風船に針を刺すようなものです」

たとえば、「学校に行きたくない」と言うなら、頭ごなしに「何言ってんの!?」と怒るのではなく、「そういうとき、あるよね」といったん共感する。すると、子どもは「わかってくれる」と思い、次の話をする。その上で「何が原因?」と聞くと、徐々に胸の内を話し始めるという。

「子ども4:親1」の会話の難しさは、「子どもに4も話させること」。いきなり正論を投げつけると、そこで会話が終わってしまう。ぽつりぽつりでも話すよう、共感しながら時間をかけて子どもの話に耳を傾ける必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)

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お話をお聞きした人

櫻井勝彦
櫻井勝彦
日本心理教育コンサルティング
文学修士(社会心理学)、日本心理学会認定心理士、中央労働災害防止協会認定心理相談員。全国の学校・企業・自治体で心理学を活用した講義や研修、カウンセリングを行う。
文学修士(社会心理学)、日本心理学会認定心理士、中央労働災害防止協会認定心理相談員。全国の学校・企業・自治体で心理学を活用した講義や研修、カウンセリングを行う。