「コミュニケーションをスムーズにする基本は、まず『聞く』こと。カウンセラーが心がけていることも同様ですが、一般的に『子ども4:大人1』の割合で話すようにすると良いですよ」(櫻井先生 以下同)
実は、子どもが親とコミュニケーションをとらなくなっていく多くのきっかけは、父親の「全否定」だそう。子どもの話を聞いている途中で「それはお前が悪い」「そうじゃないだろ」などとかぶせてしまう・否定してしまうことで、子どもが「わかってくれない」と思い、何も喋らなくなるのだと言う。
母親は、話を聞いてあげることが比較的多いが、逆に「何でも喋る」ことが子どもの成長を阻害する心配も。
「成長段階では、親と喋らなくなる時期もあるものです。あまりに母子密着だと、子どもが自立できなくなる可能性も出てきます」
今まで子どもの話をしっかり聞いてきた上で「最近話さなくなった」なら、自立の一歩。否定してきたことで親に何も話さなくなったのなら、避けられている可能性が高いそう。
「極端に言えば、子どもが『○○を殴りたい』などと言ったとしても、それすら否定しない。まずは『そういうとき、あるよね』と一度共感する。こういう発言をするときの子どもは、心の風船がパンパンに破裂しそうな状態で、どうにもできずにそういう言葉を投げてきている。それを否定するのは、風船に針を刺すようなものです」
たとえば、「学校に行きたくない」と言うなら、頭ごなしに「何言ってんの!?」と怒るのではなく、「そういうとき、あるよね」といったん共感する。すると、子どもは「わかってくれる」と思い、次の話をする。その上で「何が原因?」と聞くと、徐々に胸の内を話し始めるという。
「子ども4:親1」の会話の難しさは、「子どもに4も話させること」。いきなり正論を投げつけると、そこで会話が終わってしまう。ぽつりぽつりでも話すよう、共感しながら時間をかけて子どもの話に耳を傾ける必要がありそうだ。
(田幸和歌子+ノオト)