年賀状はいつまでに投函すれば元旦に届く?
年賀状のマナーを知る前に知っておきたいのが、年賀状の準備や投函に関すること。年末ギリギリに慌ただしく準備しなくてもいいようにするためにはどうすればいい?
「郵便局が年賀状を引き受けする時期は、毎年12月15日~25日までとなっているので、元旦に届くようにするならその期間内に投函するのがベストではないでしょうか。それに間に合うように、11月半ばごろから余裕をもって準備するのがよろしいかと思われます」(森さん、以下同)
年賀状を投函するのがうっかり遅れてしまうと、元旦に届かず、相手によっては心証を悪くするケースもあるので気をつけましょう。
年賀状の賀詞、「賀正」を目上の人に送るのはNG
年賀状を書くにあたって重要になるのが「賀詞」。いろんな言葉があるなかで、どう使い分けるのが正解なのでしょうか?
「賀詞には『福』、『賀』、『寿』などの一文字、『迎春』、『賀正』、『慶春』などの二文字、『謹賀新年』、『恭賀新年』などの四文字などがありますが、一文字、二文字の賀詞は、『賀正→正月を迎えました』、『迎春→新春を迎えました』と単にその事実を述べているだけです。相手に対する敬意や丁寧さに欠けるといわれているので、上司や恩師、目上の方には適しておりません。上司や恩師、目上の方には、『謹賀新年→謹んで新年をお祝いします』、『恭賀新年→うやうやしく新年をお祝い申し上げます』のような、四文字の賀詞を使用します」
森さんによると、友人や親戚の場合は、二文字、四文字、どちらの賀詞でもいいそう。とはいえ、義両親に送る際は、念のために四文字を使用したほうが無難かもしれません。
また、相手を選ばずに使える賀詞としては、「あけましておめでとうございます」や「新年おめでとうございます」、「新春のお慶びを申し上げます」などがあるのだとか。
ちなみに、年賀状のよくある間違いとして、重複表現があります。以下が正しい使い方なので覚えておくと安心です。
誤:「新年あけましておめでとうございます」
正:「新年おめでとうございます」、「あけましておめでとうございます」
誤:「一月一日 元旦」
正:「元旦」(元旦には、一月一日の朝という意味があります)
相手に喜ばれる年賀状のポイントは手書きのメッセージ
パソコンや家庭用プリンタが普及した現在は、年賀状も全面プリントで“サクッ”と作れるもの。しかし、森さんは次のように話します。
「年賀状には日ごろお付き合いが疎遠になっている方と、一年に一度お互いの近況を報告しあえる、というメリットがあります。印刷だけの年賀状もよく見られますが、手書きでひと言添えるだけでも気持ちが伝わるので、ぜひそのお相手さまだけに向けたメッセージを付け加えてください。また、会社関係の儀礼的なものには不向きですが、写真付きの年賀状も状況がよく伝わり、喜ばれます」
なお、一般的な年賀状には、以下の5つを入れるといいそうです。
1)新しい年を祝う決まり文句
2)昨年お世話になったお礼(近況報告など)
3)今年も変わらぬお付き合いや指導をお願いする言葉
4)相手の幸せや健康を願う言葉
5)年号、日付、干支など
一方で年賀状にはふさわしくない言葉もあり、「新年早々縁起の悪い言葉として、『去年』という言葉が挙げられます。こちらは『去る』という漢字が、別れや死をイメージするので、『昨年』、『旧年』という漢字を用いましょう」と森さん。
他にも、死、病気、衰える、枯れる、倒れる、別れる、切れる、終わる、燃える、失う、消える、傾く、落ちる、滅びるなども避けたほうがいいそうなのでご注意を。
年賀状の代わりにLINEやSNSでメッセージを送るのはアリ?
新年の挨拶をLINEやSNSで済ませることには賛否ありますが、マナーの観点ではどうなのでしょう?
「日本の古き良き慣習として、年賀状を送りあう風習はぜひ残していってほしいもののひとつですが、時代とともに環境も変化しており、メールやSNSを活用することも致し方ありません。会社や学校でも個人情報保護法の観点から名簿の作成もなくなり、住所を確認しにくくなっているのも年賀状離れの要因のひとつではないかと思われます。しかしながら、大切なことは年賀状を出す行為よりも、相手を思い、日ごろの感謝の気持ちや相手の健康、幸せを願う気持ちを形に表すことだと考えます。相手の年齢や関係を見極め、うまく活用してみてはいかがでしょうか」
日本人にとって年賀状は、子どものころから慣れ親しんでいる風習のひとつだから、マナーを意識せず“うっかりミス”をやりがち。正しい知識を身につけて、相手に喜ばれる年賀状を書きましょう。
(文・奈古善晴/考務店)